田中一馬ブログ

「繁殖農家が肉を売るなんておかしい」というのは思い込み

みつひめまる16という「肉牛」を買いました。

5月中旬。コロナ禍で枝肉価格は暴落の最中、削蹄の兄弟子から「肉牛買ってくれんか?」と連絡をいただいた。

既に仕上がった50ヶ月齢の肉牛。

枝肉の競りのように肉質を確認しての購入じゃなく、「肉」として生体(牛が生きた状態)での売買です。

僕は今まで自分の牛の肉しか販売してきませんでした。そういうもんだと思ってた。

でもこんな時期だから僕ができることをやらなきゃと思ったし、やってみたいとも思った。

5月に買った2頭の子牛(肥育素牛)だって同じだ。今までやったことだけにしがみつくとか、僕は一番のリスクだと思ってる。

あ、いや、単にやりたいことやらないと気が済まないだけなのかも。。。でもそれもすごく大切にしてる事だったりする。

みつひめまる16は見た瞬間に「面白そうな牛だ」と思った。この牛を僕に預けてくれることも嬉しかった。

みつひめまる16

屠畜した翌日に格付け。ロースの断面を見て驚いた。

脂が別格。食べてみたいと思うような最高の肉質だった。

実はこのツイートを見て神戸の肉屋さんが「その肉売ってもらえませんか?」と翌日に来られたんだよね。有名な肉屋さんだから名前は知ってたけど面識はまったく無し。正直言えば自分で販売する方が売上は上がる。売り切る自信もある。だけど面白そうだと思ってしまった。

だから今回右半分は肉屋さんに卸売り。左半分を僕らが切って販売をする。やった事ないことは不安もあるけどワクワクもする。

販売は7月下旬。

とりあえずホルモンがめちゃくちゃ美味かったっす。

モモ系もヤバかったな。。

サーロインは別格だった。

楽しみにしてて欲しいです。

「繁殖農家が肉を売るなんておかしい」というのは思い込み

冒頭でも書いたけど、僕はずっと自分の牛しか扱ってきませんでした。

「我が家で飼っている牛を最後まで届けたい。」

その思いで牛肉の販売をしてきた。でもその一方で自分で作った枠にずっと囚われているとも感じていた。

牛肉は自分の牧場で生まれ育てたものだけ販売するって言うのは僕が作った枠なんだよな。。。肉を仕入れて販売する。子牛を買って肥育する。こんなの当たり前のことなのにね。見ないフリしてた。囚われてたな。

例えば放牧での牛肉生産。13年前に始めた当時は半年経っても全く売れずに自分で食べてたんだけど、少しずつ認知され、気づけば30分で牛1頭が完売するようになっていったんだよね。

でも売れれば売れるほど「人がしないことをするから肉が売れてるんだ。僕は放牧以外に手を出しちゃダメだ。」って、勝手に枠を作って変化を避けるようになっていた。変わったことをしてるくせに、安定っぽいものが目の前に現れると「ここが安全だ!」と安心して止まろうとする。でもそんなものは錯覚なんだよ。ただのやらない言い訳。

実際に普通に肥育した牛肉は同じように売れた。

むしろ放牧の牛よりも売れている。

牛1頭の肉が8分で完売して感じたこと

肉どころかパーカーやTシャツや帽子だって売れる。

もちろん最初からこうだったわけじゃない。この勢いが続くとも思ってない。

ただね、多い少ないはあれども、僕の良いと思うものを信じてくれる人がいるって事は最初だって今だって同じだったと思ったんだよね。

だからこそシンプルに自分のやりたいこと、それを信じてくれる人に向き合えばいいと今は思うのだ。

「但馬牛、神戸ビーフ、A5ランク、希少部位、グラスフェッド、熟成肉etc」巷にあふれたそんな言葉より、「これは僕がオススメします!」って言葉を信じてもらえるように。これからも愚直に伝え続けたいと思う。

今回のみつひめまる16もそんな気持ちで向き合ってる。

今後は僕のオススメの焼肉セットとか、お肉の定期便なんかも作りたいな。うちの牛とか関係なくね。きっと喜んでくれる人はいると思う。

「繁殖農家が肥育をするなんて分不相応だ」「肥育もしてないのに肉を売るなんて順番が違う」今までそんな事をたくさん言われた。

でもそれって思い込みなのだ。

人に言われて「そうだよな。。」と枠を作ってしまうのも自分自身が作った思い込み。

繁殖農家だけど職業は田中一馬です。

笑われそうなそんな道をこれからも模索していこう。

一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬(カズマ)

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。
好きなものはカメラ、カレー、コーヒー、純米酒。

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