田中一馬ブログ

牛1頭の肉が8分で完売して感じたこと

久丸福のお肉が完売となりました。

枝肉で430kgあった久丸福。その全ての部位を妻がカットし、焼肉用やステーキなど合計1000個の商品を販売させていただきました。

さらに今回はTwitterでライブ中継にも挑戦。商品が売れる過程も一緒に楽しみたかったし、売れ行きの悪い商品があれば食べ方のプレゼンでもしようかなって思ってた。

でもね、全く何も出来ませんでした。。。

販売開始8分で全てのお肉がSOLDOUT。

牛だよ。マジで意味がわからない。

今までも30分で1頭完売とかはありました。でも今回は別次元。まだ混乱してる。

いつも買えない人が出るので「今回は販売時間にはサイトに入ってね!」とクドイくらい促しもした。それでも買えなかったってコメントだらけだった。

そりゃそうだ。8分で完売なんて誰も思ってない。分かってても対応できない。

カートに入れては決済時に他の人に取られ消え、違う商品を入れれば最初にキープしてたのが取られ消え、気づいたら一つも買えなかった。そんな人がたくさんいた。

買えなかった方にはゴメンなさいしか無い。そして買ってくださった方にはしっかりと届けなきゃと思う。申し訳ないとありがとうがごちゃまぜだ。いや、でもやっぱりありがとうです。

今、和牛業界はコロナ禍で大ダメージを受けています。肉が動かず枝肉価格は暴落。それに連動して子牛価格も下落。少しでも肉の消費を進めようと提案された和牛券は大炎上。インバウンド減と飲食店の自粛営業でロースヘレなどの高級部位が全く動かない。。。

でもね。こんなご時世に牛1頭の肉が8分で完売する。サーロインなんて100g5,400円だ。全然安くない。むしろ高い。

「お前のとこは頭数限定だから」とか「カズマくんはフォロワーが多いから」とか「俺はネットとかよく分からんし」とか「日本人には良い部位は売れないとか」。見方によっては全部正解かもしれない。でもそんなことを聞くたびに少し残念な気持ちになる。見るとこはそこじゃない。

僕が今回強く思ったのは、美味しいお肉をみんなが求めてるんだってこと。

お肉を買ってくださった(買えなかった)三重県の肥育農家さんがこんなツイートをしてくれてました。

これを見て僕は凄く嬉しかった。そうなんだよね。求められてんだよ。

僕の力なんて微々たるものです。所詮はイチ農家だ。でも和牛の力は別。農家、人工授精師、獣医師、農協、餌メーカー、削蹄師、行政、市場関係者、食肉センター、肉屋、飲食店等々。和牛は様々なプロの手を経て、授精から4年近くかけ肉になる。この層の厚さが和牛の力だと思う。

美味しいお肉をみんなが求めてる

だからこそ今業界一丸となって届け方を模索したい。今が和牛の過渡期だと思う。

もっと「和牛」の魅力を伝えられるよう、僕も頑張ろうと思います。

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として様々な農家の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛を中心に長期肥育や経産肥育、放牧牛肉の生産などをスタート。
好きなものは牛肉、漫画、純米酒、ウイスキー。ここ1年はサウナにドハマり中。

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