最終更新日2019.1.8 16:20
蹄に詰まった異物にはピックツールがオススメです。
こんにちは。
但馬牛繁殖農家のお肉屋さん、ときどき削蹄師の田中一馬です。
牛の蹄を切る削蹄。
油圧枠場とグラインダーを使う世界的な流れの中で、
規模の小さな日本では、牛の足を持ち上げて鎌を使う単独保定もまだまだ健在です。
鉈や鎌を使うこの削蹄には、ある程度の筋力が必要になります。
しかし、どんなに力があろうとも所詮は人力。
限られた力をうまく使うために、様々な段取りが大切になってきます。
人は機械に力では敵わない
牛の蹄は環境によって硬さが変わります。
湿った環境にいる牛の蹄は大根のような硬さに、乾燥した環境にいる牛の蹄はカツオの本枯れ節のような硬さに、、、蹄って数日で変化します。
グラインダーで切る時には、蹄の硬さはあまり関係ありません。
機械ってやっぱすごいっす。。。
切るというよりバリバリ削るって感じ。
しかし、人力ではそうもいきません。
人の力で蹄を切るには、切れる刃物でないと絶対に無理です。
柔らかい蹄の時は刃を薄く寝かして研ぎ、カチカチの蹄は刃を立てて研ぐ。
少しでも刃こぼれがすると全く仕事が出来なくなってしまうし、気合いと時間をかけて研いだ刃物だからこそ刃こぼれは悲しい。
でもね、どれだけ鋭利に砥いでも、どれだけ刃の角度を変えても、どれだけ切り方を工夫しても、一瞬で刃物を台無しにしてしまうものがいます。。。
そんな刃物の天敵。。。それが。。。
小石や砂、パリパリに乾燥したオガクズにモミガラ、ガラスに釘など、蹄に食い込んだ異物達です!!!
だから鎌で切る前に、蹄の底に食い込んだ異物たちを掃除する必要があります。
蹄底のほじほじツールたち
蹄の裏にある異物はちょっとやそっとでは落ちません。
基本的には先端の細い金属でほじほじと落としていくことになります。
鎌でほじほじ
削蹄中に色々な道具を持つことは、便利なようで実は逆。
道具が色々→時間がかかる→牛が嫌がる→持つのが厳しくなる→切るのに時間がかかる→牛がもっと嫌がる→もっと持つのが厳しくなる。。。と悪循環になってしまう。
牛が暴れ無いように足を持ち上げるには、無駄な工程はひとつでもなくすことが大切です。
蹄の底を切る鎌で異物の除去も出来れば、それが一番手っ取り早い。
実際僕もずっとそうやってきました。
両刃の鎌の場合、刃先が尖っているため簡単に異物の除去が出来ます。
中にはこのように石をとるための突起が付いたものものもあって結構便利。
ただ、この両刃の鎌には蹄の負面をフラットに作りにくいという欠点があります。
鎌の構造上、切る際に腕の力が結構必要にもなる。
僕は3年前に肘を壊し、両刃の鎌を使う事をやめました。
今使っているのは両刃ではなく片刃の鎌。
鎌を変えたことで仕事はやりやすくなったのですが、御覧の通り片刃の鎌には突起がありません。。。
そのため、異物をとるためのツールが必要でした。
マイナスドライバーでほじほじ
ホームセンターが大好きな僕。
色々とほじほじ道具を試す中で、一番しっくりきたのがこのマイナスドライバー。
安いし、サイズもぴったり、グリップも効いて力も入る。
どれだけほじほじしても曲がりません。
マイナスドライバー、めちゃ強えぇぇぇぇ---ー!!!!
ただ先端がマイナス状なので、なかにはちょっと取りにくい異物もありました。。。
※余談ですが、実は蹄の異物をとるための専用の刃物もあります。
(荒々しい僕は1回で刃先を曲げて壊してしまいました。。。)
蹄表面の異物除去はデリケートな作業ではないので、強靭性が一番大切なポイントかなって僕は思います。
ピックツールでほじほじしよう
そんな時にふとホームセンターで出会ったのがピックツール。
先端も細く、短く直角に折れ曲がっているので力が伝わりやすい!!
これいいやん!!!!
微妙な角度がまた使いやすい。
このままでは持ちにくいのでテープで巻いて下地を作り、
ゴムでグリップを作れば完成です!!
少し柄が長いので、使っているうちに邪魔なら切るかもしれないけどね。
ガリガリしたところで蹄も傷つけませんし、先端も丸くならない。
これ、凄く使いやすいーーーー!!!
ピックツール、蹄のほじほじには超お勧めの道具です!!
ぜひお試しくださいね!!
ただ、このピックツールには、一つだけ注意点があります。
どれだけひっかいても蹄は傷つかないんですが、、、
簡単に、、、
簡単に、、、
手袋貫通するからねーーーーーー!!!!
バイキンが入って、指曲がらなくなるからねーーーーーーーー!!!!
ピックツールは、
人に向けて使ってはいけません!!
以上、必殺仕事人に憧れる僕がお伝えしました。
怪我しないようにね。