最終更新日2020.8.28 23:28
蹄って内科のカルテなんです
「蹄で牛の健康って分かるわな」今日はそんな話を兄弟子としてた。
蹄病じゃなく蹄の質の話ね。
牛にとって大切な蹄の厚み。それを決めるのは蹄の長さと角度だ。長さがあれば厚みは作れる。
でも牛は一頭一頭違うんだよね。長さも角度もあくまで目安。結局僕が一番信頼してるのは実際に蹄を触った時の感覚だったりする。
感覚って曖昧な言葉やな。
でも実際にそうなんだよ。
目安は確かに大切。ただ、鵜呑みにすると応用が利かない。スケールでは測れない部分を理解しているからこそ、僕は思い切って鎌を走らせることができるのだ。
硬い柔らかいとはまた別の鎌から伝わってくる触感。微妙な色の変化。角質の若さからも蹄の厚さは想像できる。
そんなふうに蹄を切っていくと「この長さと角度でこの色が出るか。。」とか「なんかシャリっとして気持ち悪くて鎌を動かせない。」とか、まだ形としては全然切れるはずなのに怖くて鎌を止めちゃうケースがある。そしてそれは大抵が正解なんだよね。
なんか気持ち悪い。自分の感覚が鎌を止めてしまう。そんな蹄は農家によって顕著な傾向がある。
蹄って牛の履歴書みたいなもんなんだ。人だって体調が爪に出るのと同じ。
アシドーシスやカビ毒によるエンドトキシン、先天的の腎不全。。。調子の悪い時の牛って健全な角質を作らないんだよね。
削蹄で語られるのは蹄病や角度や厚みや立ち方など運動機能としての話がメインだ。
でも本当は内科のカルテなんだよな。
蹄から牛にできることよりも。蹄を見ることで牛にできることの方が大きいのだ。