田中一馬ブログ

先天的な欠陥は仕方ないと思っていないか?

こんにちは

田中畜産の田中一馬です

今朝牛舎に行くと2ヶ月齢の子牛が死んでいました

腎臓の数値だけがずっと高く点滴等で毎日治療していただきましたが駄目でした

ここ1〜2年生後1ヶ月齢くらいから腎臓に障害が出るケースを但馬管内でよく聞きます

元々腎臓が弱い個体が餌を食べだす1~2ヶ月齡になったときに腎臓の解毒・ろ過機能が追いつかなくなりダメージとなって一気に出る

こうなるとなかなか回復は難しく廃用となるケースが多いのが実情です

バンド3やクローディン16欠損症などの遺伝病は有名ですが未だ病名として確定していない遺伝病が出てきているんじゃないかと僕は考えています

但馬牛はもとより全国的に血統の偏りが大きくなる中でいくら現在確認されている遺伝病を避けて交配をしたところで安心とは言えなくなっていると思います

今回家畜保健所での解剖をお願いしましたが明らかな死因は特定できませんでした

明らかに肺炎や下痢低体温外傷など原因が分かる事故もありますが解剖してもよくわからないといったことも実は珍しいことではありません

こういった事例は残念だったねと個々の農家の事例として終わらせがちです

僕はこういった事例にこそ家畜保健所共済獣医師農家試験場などが協力して原因究明に向かうべきだと思います

遺伝病一つにしても家畜保健所や共済の持っている事例を畜産試験場が取りまとめ仮説を立てて調査をするといったことも可能なはずです

個々の事故の事例は個人情報ですし非常にデリケートな問題を含んでいます

例えばブログで牛が死にましたなんて書くと狭い業界なので風評被害も出ます

だからこそ公の研究機関がこのテーマに取り組む必要性を強く感じています

遺伝のことに詳しい僕の友人に相談したところ美方地域で1番早くできることは種牛ごとでの死亡例の割合を数値化して外していく作業ではないでしょうか?というコメントをいただきました

ほんとはすごい長文だったけど抜粋しましたありがとう。)

確かに但馬牛でそれをするとただでさえ付けられる種が限られているのに・・という思いもあります

しかし感染性の病気であれば治すことも抑えることもできますが生まれ持った弱い因子は次につながる可能性があります

但馬牛は兵庫県閉鎖育種であるからこそ限られた血統構成の中で不良因子を残すことを避けていかなくてはいけません

特に美方郡で言えば使う種は芳悠土井芳山土井照忠土井の3種類で90%を占めているのが現状

誰もがはっきりと目に見える弊害となる前にできることを勧めていかなくてはいけません

病気で牛を死なせてしまっても先天的な心疾患であっても全ては自分の責任です

目の前の牛を見て出来ることを模索するしかないのです

先日のブログ向き合うとは理解しようとする事。』と書きました

牛というわからない動物に対して理解しようとするのが牛飼いでありその過程の中で牛の健康や美味しさがあります

放牧したら健康だとかそんな簡単なもんじゃないんです

牛を見て理解するのが牛飼いの技術でありそこに終わりはありません

どんな場合であっても牛が死ぬというのは異常なことです

先天的だから仕方ないではなく目の前の牛に向き合うことでしか僕らは牛を飼えません

今まで事故があるたびに僕は教訓にしようと心に決めてきました

だけどそれは少し違うんじゃないかとふっと思ったんです

牛を理解しようと生きている間にしっかりと目の前の牛に向き合っていれば『教訓にしようといちいち決意する必要もなく当たり前に教訓になっているはずです

逆に向き合えていない時にこそ自分が見れていなかったことに後悔して死んだ時に教訓にしよう!と決意するんですね僕の場合

死んでしまった後に考える事はありますがその分をその牛が生きている時に注ぎたいと思います

目の前の牛を見て何ができるのか

先天的な欠陥は仕方ないと思っていないか?

今いる牛たちにこれから生まれてくる牛たちに自分が出来ることはまだまだあります

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬(カズマ)

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。
好きなものはカメラ、カレー、コーヒー、純米酒。

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