田中一馬ブログ

霜降りは不健康な飼い方で出来るもの??

こんにちは。

田中畜産の田中一馬です

最近の赤身ブームの中、霜降りについて否定的な意見をよく見るようになりました。

少しだけ思うことを書きますね。

霜降りって不自然なの?

霜降りといえば高級牛肉の代名詞のようなものですよね!

その一方で「霜降りって不自然だよ!」といった声もよく耳にします。

先日見つけた牛肉販売をされている牧場のHPにこんなことが書いてありました。

【一般的な「霜降り」の生産方法】

人工的な栄養過多飼料の大量投与によって、筋肉の中に脂肪が混ざる「病的」な非自然食品が完成します。

1頭を仕上げるのに24ヶ月を要し、約300キロの肉を得るために、4,000キロの輸入飼料を必要とするのです。

同じような例としては、脂の豊富な北京ダックを得るために飼料を多量投与したり、大きなフォアグラを得るためにガチョウにトウモロコシを無理やり飲み込ませる飼育法などがあります。

このような飼育方法で出荷された肉類は、穀物由来のリッチな重みを持った脂肪が味わえる半面、脂肪の融点が高い飽和脂肪酸を多量に含んでいます。そのため、体内に取り込まれた脂肪は人間の体温では溶けにくく、排出が困難な悪玉コレステロールとして蓄積することが知られています。

うわぁぁぁぁ〜、って思いますよね。

でも、本当に霜降りって不自然なんでしょうか?

通常動物に霜降りは入りません。

エネルギーを貯蔵するために皮下脂肪をつけることはありますが、筋肉内に脂肪が入るということはまずありません。

だから霜降り和牛は「筋肉中に脂が入るまでブクブクに肥やす不自然な飼い方」をしている。

そんなイメージを持たれる方もいるのかもしれませんね。

輸入牛肉には霜降りがないのは?

スーパーで並んでいる輸入牛肉に霜降りがないのはなぜだと思いますか?

例えばアメリカ産牛肉。

成長ホルモンを投与して効率的に牛の発育をコントロールするアメリカンビーフですが、霜降りの牛肉を輸出することはありません。

実はアメリカの畜産の研究は日本以上に進んでいます。

日本の家畜栄養学はアメリカでの研究が元になっていることも多い。

しかしそれでも霜降りは作れないんですよね。

高カロリーなものを無理やり食べさせて霜降りが入るならこんな簡単なことはないわけです。

だけれども出来ない現実がある。

それは霜降りは技術だけではないということを意味します。

霜降りとは牛の能力を引き出したもの

霜降りっていうのは牛の能力です。

日本で1,000年以上役牛として飼われてきた和牛が、たまたま持っていた唯一無二の遺伝情報。

だからこそ和牛は世界的に貴重な資源なのです。

普通で考えたらサシが入るはずのない放牧という飼い方。

それでもサシが入るのが黒毛和種であり但馬牛です。

(こちらをご参照ください→「グラスフェッドの但馬牛とブラウンスイスの肉の違い」)

(草だけで飼育した但馬牛のリブロース)

このリブロースだけ見ても、フォアグラ状態にすることが霜降りを作るのではないと理解いただけるかと思います。

この牛の能力をどこまで引き出せるか、ただ霜降りを入れるだけではなくどういった脂肪酸組成にするかなど、一つ一つが牛飼いの技術です。

霜降りは不自然で不健康な食べ物だということを言う方は先入観によるものか、別に言いたいことがあるのだと思っています。

自社の宣伝の為に「霜降りは不健康だ!」なんて過激な言葉で煽るケースもよく見ますので、気をつけてくださいね。

放牧でも健康な牛と不健康な牛がいます。

肥育にも健康な牛と不健康な牛がいます。

こんな当たり前の話が、当たり前に出来るようにしていきたいですね。

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬(カズマ)

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。
好きなものはカメラ、カレー、コーヒー、純米酒。

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