田中一馬ブログ

市場を否定するのではなく市場の他に売る力を持つこと。

『第20回美方郡産神戸ビーフ枝肉共励会』が神戸市の西部市場で行われました。
今回は我が家生まれの牛が出るとのこと。
せっかくの機会なので見学に行ってきました。

「よしふくきく2」と言う妻名義の牛の産子。一昨年の11月子牛市で市場2番目に高い価格で落札していただいた去勢牛です。

当時僕の子牛は市場ではかなり評価が低く、この牛が生まれる1年前くらいから親牛の管理を始め、全てを見直していた時期でした。

「健康で最後まで餌を食べきる牛。」
「買ってもらった先で止まらない牛。」

それだけを念頭に改善したその第1頭目がこの子牛だったんだよね。だから絶対に見に行かなきゃと思ってた。
年1回削蹄に行く時はドキドキしながら見てたもんだ。

結果はA5-10。上位6頭に入る優良賞に選ばれていました。

これは肥育農家さんが引き出してくれた結果です。
その一方でそれに応えられる牛だったんだなとも思った。
サシだけじゃなく良い枝だったしね。
ほんと良かった。

しかし、いざセリが始まると枝肉価格は全く伸びない。
最近の下落に輪をかけて神戸ビーフの相場はさらに下落。
今回の共励会の平均枝肉価格は130万円。
2年前の平均子牛価格が95万円なので非常に厳しい相場となりました。

結果的に賞に入っても採算割れ。
いや、ほとんどの牛が利益が出ないような状況になっていたんじゃないのかな。。。
「受賞おめでとうございます!!」なんてとても言える空気じゃない。

たとえ繁殖農家として良い位置でバトンを渡し、肥育農家がベストの走りをしても、走んないほうが良かったっていう結果にもなる。

それが市場なんだなと改めて感じた。

今は子牛市場は高値で推移している。だけど子牛市場も枝肉市場も根本は同じだ。
自分の力の及ばない範囲で物事が進むのが相場に左右される市場なんだよ。
でもそれを踏まえた上でも市場のもつ力は大きい。

全てを自分で販売するというのは至難の技。
だから絶対に市場は無くならないし、いつの時代も市場はメインの販売先にはなると思う。

ただ、僕らのような中小零細農家は小回りがきく。
だからこそ今後「売る力」が必要になってくると思う。
実際に自分で店を持っている肥育農家さんの枝は強い。

僕は繁殖農家。「どこに行っても最後まで餌を食べきる牛を作る」という大前提がある。
そこは間違えない。
一方で市場に出すと難しいような牛は自分で肥育し、自分で納得出来る肉にして販売する。

そういう力が必要になってくるんじゃないのかって、僕は思うんだよ。
自分で価値を伝えて受け入れてもらえるって一番強いよ。

秋福悠のお肉完売しました!!即完売なんて一度だって思ったことはない。

そんな話を神戸からの帰り道ずっと妻と話していました。

勉強になった1日だった。

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬(カズマ)

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。
好きなものはカメラ、カレー、コーヒー、純米酒。

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