田中一馬ブログ

黒毛和種は霜降りだけだって思ってませんか?

9月21日の日経で我が家の放牧経産牛肉のことが取り上げられました。

■お母さん牛、野草食べておいしく
田中畜産では役割をおえた繁殖雌牛を約半年間放牧して肉牛として出荷する
これまでは人気がいまひとつで、価格も安かった肉も赤身ブームと生産者の努力により再評価され始めている。兵庫県香美町で神戸牛の元となる但馬牛の子牛を繁殖する田中畜産では、繁殖の役目を終えた母牛(経産牛)を半年ほど放牧した放牧経産牛を出荷している。
通常の肉牛の飼育期間が2年半ほどと短いのに対し、放牧経産牛は10年を超える。通常であれば繁殖牛としての役目を終えてすぐ、肉牛として和牛の3分の1以下の安値で出荷される。田中畜産では春から秋にかけて約半年放牧。牧草ではなく放牧場の野草を食べさせて育てる。
放牧経産牛のサーロインは100グラム2000円ほどと高級和牛顔負け
毎年、冬になると2~5頭ほどを30種類の部位にわけてインターネットで販売。価格はサーロインで100グラム2000円ほどと高級和牛顔負けの価格だ。半年間放牧しているため、神戸牛の遺伝子を持っていてもサシはほとんどないが「肉の味が濃く、甘みも強い」(田中一馬代表)。数量も少ないため販売するとすぐ完売するといい、食のプロにもファンが多い。ネット通販以外では神戸市のレストラン、MOMOKAで食べることができる。
様々な味を楽しめる実は個性豊かな和牛の世界。食欲の秋、自分好みの牛肉を探してみると楽しいかもしれない。(NIKKEI STYLEより抜粋)

って、ブログ書くの遅ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!
1ヶ月半も前のことだし!!
ということは置いといて、さすがの日経。
たくさんの反響をいただき銀行の支店長まで連絡してきてくれた。
昨今の赤身ブームでこう言った取材がまた増えてきた。
今日も某TV局から取材を受けた。


こうやってメディアに取り上げていただけることは嬉しい。
赤身ブームさまさまだ。
ただ、補足するならば僕はこう言いたい。
【赤身の美味しい肉≠脂肪の少ない赤い肉】
だということだ。
今までの歴史から国内では霜降りの入る黒毛和種が高級牛肉としてもてはやされてきた。
一方で日本短角種やあか毛和種、そしてホルスタインなどの乳用種などなど、霜降りの入りにくい品種は市場でも高値で取引されることはなかった。
そのような状況で到来した赤身ブーム。
行き過ぎた黒毛和種の霜降りへの改良も要因の一つではあるが、これによって霜降りの入りにくい牛たちの肉が脚光をあびるようになった。
個人的にはこの流れは歓迎すべきだと思う。
ただ、大きな誤解がある。
脂肪が少ない(赤身が多い)から赤身が美味しいとは限らないってことだ。
それは霜降りが多いから脂が美味しいっていうのと同じ。
美味しい赤身、美味しい脂肪がある。
多い=美味しいではないって話。
ましてや牛の希少性と味には相関など無い。
僕個人の主観で言えば本当に美味しい赤身肉は但馬牛という遺伝子にあると思っている。
もちろん但馬牛を飼っているからという贔屓目はある。
それでもやっぱりそう思う。
だから放牧しても美味しい赤身肉になるんだよ。
牛肉の多様性は大切だ。
いろんなお肉が食べられるのは大賛成。
ただ、味ってそんな単純じゃ無いってこと。
黒毛和種は霜降りだけだって思ってませんか?
黒毛和種の真骨頂は赤身にある。
どこにも負けない美味しい赤身はたくさんあるんですよ。

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として様々な農家の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛を中心に長期肥育や経産肥育、放牧牛肉の生産などをスタート。
好きなものは牛肉、漫画、純米酒、ウイスキー。ここ1年はサウナにドハマり中。

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