田中一馬ブログ

アニマルウェアフェア(動物福祉)は牛を知らないとできないもの

こんにちは

但馬牛繁殖農家のお肉屋さん田中畜産の田中一馬です

先日片づけをしていたらある新聞記事が目に入りました

アニマルウェルフェア家畜福祉に関する記事です

家畜福祉ってとても大切な概念です

でもねちょっと誤解があると思う

家畜福祉と聞くと劣悪な環境から牛を助けよう!というイメージが未だに強いのが現状です

畜産農家は生産性や利益を追求するために牛たちに不快な思いをさせている!!とかね

ちょっとググるとそんな記事がたくさん出てくる

しかし実際は家畜を快適に飼う事で生産性を上げよう!と殆どの牛飼いが思っています

これって畜産業で生きているものにとっては当たり前のこと

かわいいねと知っているよは違う

ただね牛を快適に飼うって凄く難しい

なぜなら牛のことを知らないと快適なんて提供できないからです

アニマルウェアフェアの基本は生き物に対する敬意です

好き好きだけじゃダメ

恋愛と一緒で一方方向な思いはズレていることが多い

敬意を持つってことは相手を知ることが基本だと思う僕です

アニマルウェアフェアを去勢から考えてみる

畜産技術協会が作成したアニマルウェアフェアの考え方に対応した飼養管理指針には様々な項目でのチェックリストがあります

このリストの中で必ず牛に苦痛を与えるものが去勢です

家畜である牛は雄として生まれるとその90%以上が去勢されます

去勢をすることで牛肉として価値があがることもありますが何より雄牛は危険です

僕も今種雄牛にやられて療養中。。。ブログマニュアルで農場の事故を防止しよう」)

去勢って牛を飼う上での大前提になります

牛に苦痛を与えない事だけを考えるなら去勢をしないことが一番

しかし去勢は必須

大切なのは去勢が牛に苦痛を与えるかどうかではなく最もストレスを与えない去勢って何かという視点です

牛の去勢ストレスはその方法だけでなく去勢時期や牛との親和性天候だって関係しています

単に去勢自体の痛みの緩和アニマルウェアフェアの考え方に適応した去勢ではありません

4年前youtubeに観血去勢の動画を載せたことがあります

通常は1つづつ睾丸を摘出するところまとめて1回で摘出するこの方法は牛の負担が少ないということで当時すごく反響がありました

苦手な人は閲覧注意です。。

その結果「参考になりました!!とかその捻転器具はどこで手に入りますか?とかたくさんの問い合わせをいただきました

その一方で「キチガイかよ!!とか残酷だとかお前も同じように去勢されればいい!とかのコメントもいっぱい来た

去勢をアップした僕にも問題はあったんだけど一般的にみるとこの方法ってやっぱり残酷にしか見えないんだよね。。。

牛にとってストレスの少ない去勢法って何だろう?

去勢には大きく3つの方法があります

①陰嚢をペンチのようなものではさんで精管を挫滅させるバルザック法

②陰嚢をゴムリングで締め付けて睾丸が落ちるのを待つゴムリング法

③そして切開して睾丸を取りだす観血去勢法です

アニマルウェアフェアの考え方に対応した飼養管理指針によれば可能な限り苦痛を感じさせない方法で去勢を実施するように書かれています

去勢される牛たちを見ていると上記の去勢法の中では③観血去勢が一番痛いんだろなと感じます

でもね本来のアニマルウェアフェア家畜福祉として考えるとどうなんだろうって思うんです?

実は数ある去勢法の中でいちばん早く牛の餌食いが戻るのは痛みのキツイ③観血去勢法

①バルザックや②ゴムリングは鈍痛を長期間引きずるため餌食いの戻りが悪い

ある一面からみれば残酷に見えても牛を飼っていると色々な視点から見ててくるものがあるという話

確かに牛にとっては去勢なんて迷惑千万です

僕らが牛に対して行っていることは牛にとってベストな選択でないことは多い

でもその上でアニマルウェアフェアは牛を知らないとできないものだよなって思う

ひとつの側面からひどい!!と思うことを僕は否定しません

ただその一方でなんでそういった方法を取るのかな?と考えてみるともっともっと牛のことが分かってくると思うんです

肉牛農家というと無理やり牛を太らせているイメージが依然強い職種です

でも肥るためには様々な要因がかみ合わないといけない

どれだけ餌を餌箱に入れたって牛は大きくはなりません

無理に食べさせることで体調を崩し結果的にマイナスとなる方が圧倒的に多い

牛飼いとは何かを足すことではなくマイナスを減らすこと

だからこそ牛飼い自体がアニマルウェアフェアなんだと思うんですよね

 

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬(カズマ)

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として全国の牛の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛で放牧牛肉の生産と販売に挑戦中。
好きなものはカメラ、カレー、コーヒー、純米酒。

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