田中一馬ブログ

見なきゃいけないのは隣の同業者の価格ではなく自分の牛の2年後の姿(但馬家畜市場5月子牛市)

時間の経つのが早すぎる。

5月9日は但馬家畜市場5月子牛市でした。

ではでは、市況を見てみましょう。

5月市市況

雌 119頭 最高1,250,640円 最低503,280円 平均854,271円 前年同期比81,910円高 先月比79,941円安

去 149頭 最高1,306,800円 最低122,040円 平均991,534円 前年同期比134,420円高 先月比57,993円安

今回は先月の市場から見れば雌去勢合わせた総平均が71,619円安。実際に市場でも「少し下げたかな?」といった空気が流れていました。60万円台の牛も多く、良い牛と悪い牛の差が顕著に出てきた印象です。

しかし総平均は930,585円。これは昨年の5月市と比べると117,085円も高くなっています。昨対比は114%。

蓋を開けてみればどこからどう見ても高値相場という話でした。

ただ、やはり差は出てきている。

「求められる牛は何か?」と数年前から準備してきた農家と、売って完結してしまっている農家との差は、今後ますます広がるだろうと思っている。

肥育農家が見てるのは2年後の姿

我が家からは5頭の出荷。その全てが削蹄で伺うことのできる農家さんに買っていただけた。緊張するけど嬉しい。肉になるまで追いかけたいな〜。

特に久しぶりに削蹄の兄弟子に当たるOさんに買っていただけたことはすごく励みになった。この牧場に買ってもらうことは僕の目標でもあるから。

さらには妻名義の去勢牛が119万円もの高値で。。。これにはびっくりしたーーーーーーーー!!!

基本的に僕は販売した牛の価格は書かないようにしてる。生々しいし、高く売れた報告なんてウザ過ぎるもん。でもこれは書いておきたかった。高いことはもちろん嬉しいけど、それとはちょっと違う感覚がある。自分が本当に自信ある牛を出せたこと。昨年から向かってきた「伸びとゆとりのある子牛作り」が競り値という形になって評価されてきたことが僕には嬉しかったのだと思う。

近年減ってきた実感はあるが、依然として市場ではゆとりのない太った牛が高くで売れる。しかし、肥育農家が見てるのは大きな子牛ではない。2年後に大きくなってくれる子牛だ。その指標として子牛市場での発育がある。発育はあくまで指標の一つでしかないのだ。

たとえ今5万円安くても、後々買ってくれる方が儲けてくれれば金額として付いてくる。だからこそ市場が高騰している今取り組んでいかなくてはいけない。

とか言いながら、僕も飼い方を変えることにはめちゃくちゃ不安があった(笑)「牛が軽くなると価格がついてこないんじゃないか。。。」そういう思いは常にあった。しかし実際は5万円安いなんてことは一度たりとなかった。(もちろん悪い牛はそれなりの価格。)見ている農家はしっかり見てるし、評価する人が2人いればセリの価格は上がる。

見なきゃいけないのは隣の同業者の価格ではなく自分の牛の2年後の姿だ。マジで。いや、マジで思うよ。

それにしても良い牛だったな。

牛の能力にも助けられた。

芳福富号。218日248kg。芳悠土井×丸富土井(よしふくとみ)

評価は2年後。みんな大出世してほしいな。

引き続き牛飼い頑張ります!!!

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として様々な農家の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛を中心に長期肥育や経産肥育、放牧牛肉の生産などをスタート。
好きなものは牛肉、漫画、純米酒、ウイスキー。ここ1年はサウナにドハマり中。

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