田中一馬ブログ

ビール飲んで日本酒飲んでハイボール飲みながら今ブログを書いている

久しぶりの削蹄だった。

と言っても家の牛の蹄は切るし、毎月地元農家さんの子牛のツメキリには行っている。

それでも現役だった頃に比べれば趣味かよってくらいの頭数だ。
衰えは隠せない。年齢もある。

ただ、受けるからにはプロでないといけない。言い訳なんてお客さんには一切関係ないし、信頼には結果で応えたい。

牛だって容赦してくれない。落ち目を見せると一瞬でやられちまう。

牛に対応できないならそこに人の居場所なんて無いのだ。

それが言葉の通じない牛との真剣勝負ってやつだと思う。

だからツメキリの時には、どれだけ体がツラくても脳内が切り替わる。
脳汁であるドーパミンとアドレナリンが一気に溢れ、時間の経つのも忘れてしまう。
蹴られて鼻の骨が折れたときも、膝の靱帯を切った時も、指飛ばした時も、痛えーなんて言いながら普通に削蹄が出来た。

きついけど無我夢中になってしまう。
それが僕にとっての削蹄なんだと思う。

そんな僕は子どもの頃ずっと動物と話がしたいと思っていた。
今は犬や猫の気持ちを読み取る機械もあるみたいだ。
でもそんなの鼻息で飛ばせるくらい、牛との会話を身体でしている気がするんだよね。

単独保定の削蹄は緊張感と探り合い。
会話より深い心理戦だって思ってる。

ってな感じで脳汁切れてどっと現実に引き戻された今。ビール飲んで日本酒飲んでハイボール飲みながらブログを書いている。これは味変ってやつやな。

疲れも倦怠感も昔とは全然違う。
酒飲んだら一瞬で回っちまう。
でもそれさえも感じられなくなる時も来るんよ。

だからこそ、若いころには無かったこの疲労感がめちゃ心地いい。
「もう無理やわ」って思うとこまで、ただただやれることが気持ちいいのかもなって。

日々変化する自分自身を見ながら思うんです。

よかったらシェアしてくださいね~

書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として様々な農家の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛を中心に長期肥育や経産肥育、放牧牛肉の生産などをスタート。
好きなものは牛肉、漫画、純米酒、ウイスキー。ここ1年はサウナにドハマり中。

TOP