最終更新日2019.2.1 09:44
牛の尾は何を語っているのか。
知ってるかな?
哺乳中に撫で撫ですると牛は尻尾を振るんだよ。
牛が尻尾を振る時
犬は喜んだ時に尻尾を振りますよね。
では、牛はどんな時に尻尾を振るんでしょうか?
ハエたたき
まずは撃退。意志を持った尾振りです。
サシバエやアブなどの吸血昆虫は牛にとってかなりの痛みを引き起こします。
そんな虫たちを追い払う時に牛は尻尾をブンブンと振ります。
その尻尾は牛の肩近くまで届き、まるで平手打ちをされたくらいの威力がある。
糞尿で濡れた尾が顔面を直撃した時の痛みと悲しみと言ったら。。。。
畜産経験者は一度は通る道です。
痛いんだこれが。
(サシバエによる尾振り動画は下のツイートを見てね。)
犬だったら喜んでるんだろうけど、尻尾フリフリの原因はサシバエ。これからの時期サシバエのピークに入ります。刺されるとじっとしていられない痛さ。外からやってくるから殺虫剤撒いてもあんまり意味がないんだよね。。午後からペルネット(殺虫剤入りのネット)張るよ!もう少し待っててね! #牛ネタ pic.twitter.com/OxWSvODmQf
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) September 16, 2018
尾の用途は概ね以上。
でも、それ以外でも牛は尾を振る。
それって感情が尾に出てるんだよね。
痒いんです
尻尾そのものが痒くて尾を振るケース。
特に冬場。
尾の付け根は牛の舌が届かず、どうしてもシラミのアタックを受けやすくなるんですよね。
繋ぎの牛が1頭だけ尻尾をブンブン振っている。牛が尾を激しく振るのはお腹が痛いとき。もしくは緊張しているときです。でも今回はどちらも違う。さていったい原因は何なのでしょうかー?ヒントは「冬」。人にはうつらないないけど牛にとっては厄介なアレです。 #牛ネタ pic.twitter.com/ery0qcZq7C
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) February 26, 2018
正解はウシジラミ。非常に痒いので即駆虫です。牛もシラミも同じ生命。だけどさすがにシラミの誕生では感動しないよね。。。って、僕、シラミでも感動します!!昆虫大好きだから(笑)ちなみに人に寄生するのはアタマジラミ、ケジラミ、コロモジラミだけ。そう聞くとウシジラミも可愛いでしょ。。ん? pic.twitter.com/RdAT9YOAGh
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) February 26, 2018
「あれ?なんで隣の牛の邪魔してんだ?」よく見ればシラミ。マジかよ。。冬は良くあるけど真夏のシラミはうちでは初めて。すっかり短い夏毛に変わったのにな。そういえば2年前は小学校のプールでシラミが流行った。当然夏もいるか。。ちなみに牛のシラミは人にはつかない。安心して下さいね。 #牛ネタ pic.twitter.com/pqhhHJyP5i
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) July 23, 2018
痒くて振る。
シンプルだけど、牛の叫びだと思ってます。
痛いんです
牛が尻尾を振ってる時に一番最初に考えるのが、お腹が痛いんじゃないかってこと。
一つが陣痛。
尾が荒ぶってる!!陣痛もピークだな。あと30分。準備は万端だ!! #牛ネタ pic.twitter.com/iOOkvxc3Ui
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) December 24, 2018
そしてもう一つが腹痛です。
但馬牛には脂肪壊死症という厄介な病気が遺伝的に出やすい。
いずれにせよ尾は牛からのサインです。
一昨日くらいから草の食いが悪くなった親牛。糞があまり出ていません。親牛が草を残すってかなりの異常。但馬牛は腸管の周りを固い脂肪が囲んで締め付ける脂肪壊死症が多い血統です。牛の癌みたいなもので遺伝要因が大きい。最近は見なくなったんだけどな。違うかもしれないけど、昨日から対策中。。。 pic.twitter.com/7fgrOQRuU5
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) June 13, 2017
尾をブンブン振っている時はドキッとする。
怖いんです
犬が尾を振るのは喜んでる時。
でも、牛は緊張した時に尾を振ります。
最初は横に、緊張がピークになると縦に振るんです。
牛が尻尾をフリフリする時、「遊んでよー!」じゃないんです。牛が左右に尾を振るのは緊張しているサインです。緊張が高まるにつれ左右の動きは早くなり、緊張マックスでは上下に変わります。尻尾フリフリには気をつけてね。 #牛ネタ pic.twitter.com/5GY1Dm0sYk
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) March 29, 2017
尾を縦に振りだした時は要注意。
恐怖の反動で力一杯蹴る牛に、膝靭帯を2回切られたのは今でも苦い思い出です。
飲んでんです
そして冒頭にあったミルクを飲む時。
お母さんのおっぱいを飲んでいる時に子牛は尾を振る。
でも、哺乳瓶やバケツでミルクをあげる時には尾を振ることはあまりない。
そんな時に撫で撫ですると子牛は尻尾を振りはじめます。
知ってるかな?哺乳中に撫で撫ですると、牛は尻尾を振るんだよ。 #牛ネタ pic.twitter.com/I84AtmOYy6
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) January 28, 2019
なぜかは分かんない笑。
美味しいミルクの時は尻尾を振って不味いミルクの時は振らないなんてことをいう牛飼いさんもいる。
でも僕は反射だと思ってる。
哺乳中に親牛は子牛を舐めるんだけど、撫でることで同じような状態になってんじゃないのかなって。
なんとなく尾を振ってる方が第2胃溝反射が起きているような気もするんだよね。。。
(注:第2胃溝反射とはミルクが牛の4つある胃のうち、第1胃第2胃をバイパスして第4胃に直接入る生理現象。要約するといい感じってことっす。)
全てが想像。
でも、人だって牛だって結局のところ分かんない。
だから想像するところから始まるんじゃないって思うんだよね。
尻尾もいろいろ語ってる。
面白いな。