田中一馬ブログ

牛の尾は何を語っているのか。

知ってるかな?

哺乳中に撫で撫ですると牛は尻尾を振るんだよ。

牛が尻尾を振る時

犬は喜んだ時に尻尾を振りますよね。

では、牛はどんな時に尻尾を振るんでしょうか?

ハエたたき

まずは撃退。意志を持った尾振りです。

サシバエやアブなどの吸血昆虫は牛にとってかなりの痛みを引き起こします。

そんな虫たちを追い払う時に牛は尻尾をブンブンと振ります。

その尻尾は牛の肩近くまで届き、まるで平手打ちをされたくらいの威力がある。

糞尿で濡れた尾が顔面を直撃した時の痛みと悲しみと言ったら。。。。

畜産経験者は一度は通る道です。

痛いんだこれが。

(サシバエによる尾振り動画は下のツイートを見てね。)

尾の用途は概ね以上。

 

 

でも、それ以外でも牛は尾を振る。

それって感情が尾に出てるんだよね。

痒いんです

尻尾そのものが痒くて尾を振るケース。

特に冬場。

尾の付け根は牛の舌が届かず、どうしてもシラミのアタックを受けやすくなるんですよね。

痒くて振る。

シンプルだけど、牛の叫びだと思ってます。

痛いんです

牛が尻尾を振ってる時に一番最初に考えるのが、お腹が痛いんじゃないかってこと。

一つが陣痛。

そしてもう一つが腹痛です。

但馬牛には脂肪壊死症という厄介な病気が遺伝的に出やすい。

いずれにせよ尾は牛からのサインです。

尾をブンブン振っている時はドキッとする。

怖いんです

犬が尾を振るのは喜んでる時。

でも、牛は緊張した時に尾を振ります。

最初は横に、緊張がピークになると縦に振るんです。

尾を縦に振りだした時は要注意。

恐怖の反動で力一杯蹴る牛に、膝靭帯を2回切られたのは今でも苦い思い出です。

飲んでんです

そして冒頭にあったミルクを飲む時。

お母さんのおっぱいを飲んでいる時に子牛は尾を振る。

でも、哺乳瓶やバケツでミルクをあげる時には尾を振ることはあまりない。

そんな時に撫で撫ですると子牛は尻尾を振りはじめます。

なぜかは分かんない笑。

美味しいミルクの時は尻尾を振って不味いミルクの時は振らないなんてことをいう牛飼いさんもいる。

でも僕は反射だと思ってる。

哺乳中に親牛は子牛を舐めるんだけど、撫でることで同じような状態になってんじゃないのかなって。

なんとなく尾を振ってる方が第2胃溝反射が起きているような気もするんだよね。。。
(注:第2胃溝反射とはミルクが牛の4つある胃のうち、第1胃第2胃をバイパスして第4胃に直接入る生理現象。要約するといい感じってことっす。)

 

全てが想像。

 

でも、人だって牛だって結局のところ分かんない。

だから想像するところから始まるんじゃないって思うんだよね。

尻尾もいろいろ語ってる。

面白いな。

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として様々な農家の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛を中心に長期肥育や経産肥育、放牧牛肉の生産などをスタート。
好きなものは牛肉、漫画、純米酒、ウイスキー。ここ1年はサウナにドハマり中。

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