田中一馬ブログ

『特別なお肉』から『特別な人に届けるお肉』へ

感想じゃなくてもう、お手紙だよね。

こんにちは。
田中畜産の田中一馬です。
今日も家に帰るとお肉のご感想が届いていました。
どれも想いがいっぱいで、裏面までびっしりと書かれたものや、手作りのお菓子や僕の好きなコーヒーなどプレゼント付きのものまで。
たくさんの方からお肉のご感想をいただいています。

どのご感想もみっちりで、これはもう手紙だよねって思う。
もちろん紙だけでなく、FBのタイムラインやメッセージ、メールや直接お電話いただくなど、ご購入いただいた7割近いお客様からメッセージをいただいています。
喜んでいただけた姿が見えるって、とっても嬉しいです!!

お肉の価値を差別化で。。。の結果

実はお肉の販売を開始した当初も、こういったお手紙を頂くことはありました。
しかし当時の僕はそれ以上に【どれだけ僕の生産する牛肉が他の牛肉と違うのか】という点にこだわっていました。
いわゆる差別化です。
放牧、黒毛和種、但馬牛、完全グラスフェッド、長期飼育(60ヶ月)、直牧場直営、、、
「こんだけのキーワードを揃えたら[ちょっと放牧しました]なんて牛肉に負けるわけない!」な~んて。
この時の僕が見ていたのはお客さんではなく他の牛肉と他の生産者、自分のことだけ。
「選ばれるためには徹底して尖る必要がある。同業者はもとより国の試験場ですらできないことをやろう。」と、販売当初は自分の優位性を示すために他の牛や他の牛肉との違いばかり強調していました。
だからどれだけ評価してくださるお客様と出会っても、視点が競合他者だからちっとも幸せになれません。
そんな僕の考え方を変えてくれたのは、やっぱりお客様との関わりでした。
毎年毎年大切に待ってくださるお客さまとの関わりを通して、「たくさんの方に理解していただかなくてもいい。」「批判する人を見るのではなく、喜んでくださる方をしっかり見よう。」と、
販売を重ねるにつれ、いつの間にか他の牛肉と比較することに意味を見出さなくなっていました。
ここらへんは過去のブログに書いています↓
なぜ牛肉販売をするのか
放牧牛肉の取り組み お肉の差別化について

誰にお肉を届けたいのか?

我が家で生産できる牛肉の量は限られています。
誰に彼も届けていたのでは、本当に求めている方に届かなくなってしまう。
そう思い、告知はしても広告宣伝をすることをやめました。
今日届いたお手紙。

私自身、大きな病気にかかっています。
動物性たんぱく質を制限した食事療法を行っておりますが、やはり人間の力の源はお肉を食べることにあるという考え方の転換から、良質なお肉であればエネルギーとなり免疫力も向上すると思いました。
放牧で野生に近いお肉を探していたところ、田中畜産さんのお肉に出会いました。
病気の影響でたくさん食べることはできませんが、レバーや千本スジ、サーロインステーキをいただきました。
野性味あふれる大変力強い生命力を感じる味に非常に感動しました。
一般に市販されたお肉とは違って、しっかりとしたかみごたえがあり、大変美味しくいただきました。
姫路市在住ですが、こんなに近くにこんなにパワーを与えてもらえる牛さんが育てられている事に深く感謝しております。
闘病中で日々辛いこともありますが、田中畜産さんの牛さん達をいただき元気になりました。
放牧にて育てることは並大抵のことではなく大変だと思いますが、機会があればこれから毎回購入したいと思っています。
私に生きる力を与えてくれた田中さん、牛さん達に心から感謝しています。
ありがとうございます。


本当にありがたい。。。
しかし、毎回購入していただけるほど僕はお肉を生産できていません。
それが申し訳ないし、力不足が悔しい。
特別なお肉であることを前面に出し、新規顧客の獲得に力を入れることも可能です。
でもそんなこと今の僕のするべきことじゃない。
「力を注ぐ方向はどこなのか?」改めて気づかせてくれたメッセージでした。
また、アレルギー科のある病院を経営されているお医者様からは
・牛肉アレルギーの子供さんがたくさん来院されていること。
・ご自身のお子様にも牛肉アレルギーがある子がいること。
・その子はうちのお肉でなければ、食べた後には湿疹がでたり、下痢をしたりしてしまう。
といったお話を聞かせていただきました。
そしてそんな状況にありながらも
『田中様の貴重な牛肉をたくさん買いすぎてしまって他に必要な方の分が不足してしまうのではと危惧しています。
希望は注文した以上に譲っていただきたいくらいなのですが、途中で注文をやめました。
可能でしたら注文分を譲っていただけましたら本当にありがたいです。』
と毎年1年に1度のお肉の販売を待って、何年も購入し続けて下さっています。
こちらは僕の大切な友人が書いてくれた感想。
このご家庭に毎年お肉を届けることも僕の楽しみです。
こういった田中畜産のお肉、牛、そして僕を含めた家族全てを大切にして下さる方の思いがいっぱい届きます。
その一つ一つの声が僕の胸にダイレクトに響きます。
「お前、誰にお肉を届けたいんだ?」って。

特別なお肉から特別な人に届けるお肉へ

お肉をご購入頂くお客様の動機は様々。
僕との関係性を大切にしてくださる方、お肉の味でご購入頂く方、健康に関心の高い方といろいろです。
この手紙1枚1枚にその方の姿を感じますし、僕が牛肉を生産する理由にもなっています。
お客様のニーズを聞いて欲しいものを提供するというと、一見するとお客様のためのように見えます。
しかし、実はそんなことをしていると方向性もぶれておかしな方向に進んでしまいます。
だっていろんなお客様がいる中でみんなに合うものなんて作れるわけないから。
だけどそれはお客様を見なくていいよってことじゃない。
漠然とした「お客様」に焦点を当てることに僕は意味を感じなくなってきました。
それよりも、アレルギーで牛肉が食べられなかった○○さんのお子様が家で家族と一緒に牛肉を食べられるようになった!
この声を一番大切にしたい。
うちのお肉が牛肉アレルギーの人がみんな食べられるお肉かなのかはわかりません。
証明のしようもないです。
たまたまこの子は食べることができたということなのかもしれません。
だけど、僕が牛肉を生産する理由はそれで十分。
「アレルギーの子供でも食べられるお肉」といった肩書きなんて一切いらない。
○○くんという一人のために1頭の牛をお肉にしたっていいと思うんです。
特別なお肉を生産するのではなく、特別な人に届けるためにお肉を生産する。
僕の目指す牛肉販売の一つの形です。

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但馬牛の繁殖から放牧牛肉まで。
田中畜産のHPは『こちら
放牧敬産牛肉「きょうふく」のお肉、第3弾は2月6日AM10:00に販売スタートです!!

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667-1301
兵庫県美方郡香美町村岡区境464-1
cow@tanatiku.com
田中畜産 代表 田中一馬
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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として様々な農家の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛を中心に長期肥育や経産肥育、放牧牛肉の生産などをスタート。
好きなものは牛肉、漫画、純米酒、ウイスキー。ここ1年はサウナにドハマり中。

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