最終更新日2019.1.8 11:37
農民の日常に美を見出した画家ミレーがとても好きです
こんばんは!
兵庫県の但馬牛繁殖農家で精肉販売をしております、田中畜産のあつみです。
牛舎仕事の合間に、子牛ちゃんとツーショット^^
そうそう、このツーショットを撮って思い出したのです。
このシャガールの絵を!
タイトル「私と村」
なんか、この牛さんの雰囲気が似ているなぁと思ったんですよね。
私だけかな・・?
昔から絵画鑑賞が好きでした
中高と美術部で過ごした私。
高校の美術室には、石膏像もですが、色々な画集もたくさん置いてありました。
その中でも、シャガールとミレーという画家が特に好きでした。
これもシャガールの作品。
シャガールブルーという言葉もあるのですが、この深くも透明感も感じられる青!!
なんとも言えないくらい、美しい色合いですよね、大好きです。
それと、「落穂拾い」で有名なミレー。
最初にこの作品を見たときには、綺麗だけど、なんだか色味とか全体的に地味だよなぁ・・・・
くらいにしか思っていませんでした。
ですが、部室に置いてあったミレー画集の、一枚の絵に釘付けになります。
その作品は「晩鐘」
農民の日常に美を見出した画家、ミレー
農作業を続ける夫婦に、夕刻を知らせる晩鐘の音。
それに気がついた夫婦は作業の手を止め、今日も仕事が出来たことを神に祈ります。
という場面を描いた一枚。
この絵も、パッと見たときのインパクトと言いますか、色合いも派手さはありません。
それなのに、ものすごく引き込まれました。
なんて美しいんだろう・・・・って。
見た目の派手さもなく、生活も質素であろう当時の農村の人々。
それでも、仕事へ向き合う姿勢であったり、何かに感謝する心であったり、心であったり。
淡々と流れていく農民の日常に、ものすごく「美」を感じたんです。
実はミレー自身も農家の出身。
きっと、ミレーもここに、美を見出していたんだろうなぁ・・・だから描いたんだろうなぁ。
そう思うんです。
こちらに嫁いでしばらく経ったころ、先輩牛飼いさんからこの絵本を頂きました。
「にぐるま ひいて」 ドナルド・ホール 文
この絵本も、ミレーの作品と同じく、農家の美しい一年を描いています。
一年かけて育て、作ってきた作物や生き物を、大黒柱の父親が街の市場まで売りに行きます。
荷車や、荷車を引いていた牛さんまでも。
そのお金で買い物をし、家族にお土産を少しだけ買って家まで帰ります。
それからまた育て作り、冬を越えて春になり、また新しい一年を迎えるのです。
淡々と流れる日常は地味で味気なくも感じますが、一時として同じ時はなく、それは儚くも永久的でもあり、美しいなぁと思います。
この絵本を読んだ時、ミレーの「晩鐘」を思い出しました。
私は牛さんだけでなく、農村の景色やそこで暮らす人々や生活も好きです。
きっと、あの時。
高校の美術室でミレーの画集を見れたから、そう思えるんだと思うんですよね。
良い出会いだったなぁ・・・。
そしてと畜。巡る命
我が家でもまた年が巡り、放牧敬産牛肉を販売する時がやってきました。
明日は主人と、放牧場にいる牛さん2頭をと畜してもらいに行きます。
牛さんへの思い、お肉の出来、お客様への思い、お肉のカットの段取り、発送の準備・・・
嬉しい、寂しい、悲しい、ドキドキ、責任感・・・・
いろんな感情がありますが、この命、生きてきたことを無駄にはしたくないな。
牛さんの命を無駄にすることなく、お客様に届けられるようにするのが、私たちの責任だし、そうしたいな。
そうしてまた命は巡っていくんだろうな。
ミレーの絵と「にぐるま ひいて」の絵本を見て、明日のと畜を目前にして、そんなことを思ったのでした。