最終更新日2019.1.8 11:38
お母さん牛の陣痛が来たら、産道に腕を入れて子牛を確認しよう
こんばんは!但馬牛の繁殖農家の田中畜産、田中あつみです。
今日は(も)削蹄のため出かけた主人。一泊二日で福井までです。
削蹄はいつも、兄弟子さんや甥弟子君達と一緒に行くのですが、何故か主人だけよく怪我をして帰ってきます…。
確か、福井でもどこか怪我をしていたような…。膝の靭帯を切ったんだっけかなぁ…。
頻繁に怪我をするので、どこで負ったものなのかを把握しきれていませんw
性格なんですかね~。
何にせよ、怪我なく事故なく無事に帰ってきてね!
…て行きつけの酒屋に寄ってるしーーー?!
怪我なさそうなの良いけど、酒屋寄ってるよーーー?!
目次
田中畜産、只今産室が満室です
6月は但馬家畜市場が無いため、子牛の出荷がない田中家。
そのため、子牛のお部屋はそこそこいっぱいになっています。
そこへ、6月中旬頃までにかけて、お産を控えたお母さん牛が何頭かいます。
これは…産室が足りないかも!?
と、主人が家を留守にする前に、お部屋を増設していってくれました。
子牛のお部屋を仕切って、育成牛(お母さん牛になるための雌牛。子牛よりは大きいですがまだお母さん牛ではない)をそこへ移動させたり。
産室にいた親子を移動させ、出産予定日が近いお母さんをそのお部屋に入れたり。
この子は6月12日が出産予定日。牛さんは予定日が大幅にずれて生まれることはあまりありません。
なので、この子もそろそろ出産です。
陣痛が来たら、腕を入れて子牛の向きを確認してみよう
我が家がお産の時に心掛けていることがあります。
それは、「お母さん牛の陣痛が来たら、産道(膣)に腕を入れて子牛の向きを確認する事」です。
人間のお産の時も、助産師さんや産科医が産道に指を入れて、子宮口(赤ちゃんの出てくる所)の広さを確認してくれますよね。
出産前の検診では、エコーで赤ちゃんの向きや様子もしっかりと見てくれます。
牛さんの場合、妊娠中に胎児をエコーで見ることはありません。
(人工授精後、ちゃんと妊娠してくれたかの確認はエコーでします)
そのため、胎児がいまどのような状態なのか、向きはどうなのか、陣痛が来てお産が進んでいかないとわからないのです。
分からないって…とても怖いです。
だから、まずは産道に腕を入れて子牛を確認!もちろん消毒は忘れずに!
正常な場合、子牛はスーパーマンのように前足~頭の順に出てきます。
腕を入れたとき、最初に触れたのが前足なら少しホッ。産道の広さもあるようなら離れて様子を見守ります。
もし後ろ足、逆子でしたら…。急いで子牛を引っ張り出します。
後ろ足から出てしまうと、臍帯が切れた時にまだ顔が羊水の中。。溺れてしまうからです。
その他、難しい体位の場合や「何かおかしいな」という時は、すぐに獣医さんを呼びます。
農家さんが一番しなくてはいけないのは、牛さんの観察です
以前、尊敬する獣医さんから、こんなお話をしていただきました。
「農家さんが、なんでも一人でやろうとしなくていいんですよ。一番しなくちゃけないのは牛さんの観察です。観察して手に負えなかったら獣医さんを呼んだら良いんですから。
そのために僕たちがいるんですから。でも観察はそれぞれの農家さんじゃないと出来ないんですよ~。」
至極その通りだなぁと思いました。
この時は、子牛の治療についてのお話だったのですが、お産でも同じことが言えるよね、と。
観察・確認することで助かる命は確実にあります。
だから、お母さん牛の陣痛が来たら、産道に腕を入れて子牛を確認しよう
今も、お産がある時はドキドキします。
「絶対無事!」に生まれてくる命はないからです。
胎児の確認も、まだ怖いです。
それでも、確認することで助かる命は確実にありますし、確認しなかった時のリスクの方が大きいよね、と思うようになりました。
なので…レッツトライ!!
さぁ、今産室にいるお母さん牛は、いつ頃出産かな。
ソワソワしながら見守りたいと思います。