最終更新日2019.1.8 18:36
単独保定の削蹄はきっと30年後にはなくなっていると思う。
こんにちは。
但馬牛繁殖農家のお肉屋さん、時々削蹄師の田中一馬です。
明日は2ヵ月半ぶりの削蹄業の再開です。
2ヶ月ぶりに削蹄をしました。家の牛を4頭。。。体力も筋力も牛をコントロールする感覚も全部が衰えてた。たった2ヶ月で情けない。。。それだけフィジカルに頼った技術だって事。絶対に追随されない自負もある。でも油圧枠場を使えば誰でも削蹄はできる。僕の自負って何だろう。そんな事を強く思う。 pic.twitter.com/cS8VokFUA0
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) June 25, 2017
ムチウチで削蹄を休業していた主人。そろそろ復帰を、て事でうちのお母さん牛の削蹄を。体は大丈夫かな。怪我ないように気をつけてね!! pic.twitter.com/SxW5ebcBed
— 田中あつみ 但馬牛飼い精肉店【田中畜産】 (@tanatiku) June 25, 2017
30秒でなんとなく分かる牛の削蹄。 #単独保定 pic.twitter.com/c303qEF4Gb
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) July 10, 2017
家の牛は少し切っていましたが、さすがにちょっと緊張します。
削蹄で使う筋肉も明らかに落ちている中で、感覚を頼りに蹄を切っても感覚通りには切れません。
経験に基づく理論があるから蹄を切ることができる。
それでもね、やっぱり僕の削蹄はフィジカルに依存しているんだなって感じています。
埼玉の吉田さんがツイートしてたけど、フィジカルに依存している以上は肉体的や年齢的な限界はあっという間にやってくる。
枠場保定が今の削蹄の主流であることも納得せざるを得ない。
牛の削蹄作業はとても重要ですが、酪農家の減少で削蹄師さんの仕事も減っています。重労働なので年齢的な限界もあると思いますし、事故の事を考えると削蹄枠は絶対に必要だと思っています。全頭に立ち会い、ツメの状態を見るのも飼い主の務めです。 pic.twitter.com/NmAPowfBLy
— ヨシダ ヤスヒロ (@pony1744) July 13, 2017
でも、人が牛の足を持ち上げる単独保定の良さっていうのも間違いなくあるんだよね。
力に任せたがんじがらめな保定は牛を痛めてしまいます。
人力による単独保定は牛を痛めるところまで保定ができない。
重度の蹄病の場合は別として、最も牛に負担の少ない削蹄方法が単独保定だと思うんです。
牛の意思を感じて牛をコントロールする単独保定。
やればやるほど牛飼いだけでは絶対に見えない牛の姿がわかる。
それが面白いところでもある。
時代遅れといわれても僕はこの方法が好き。
職人としての寿命は短くても、今ここでしか得られないものがあると思っている。
きっと30年もすればこの方法で削蹄する人間はいなくなるだろう。
僕の職人としての寿命も、どんなに長くてもあと10年。
次に自分の進む道やあり方を考えつつも、今はこのツメキリの世界にどっぷりつかりたいんだよね。
まだまだ知りたいことがたくさんあるから。
そんなことを鎌型蹄刀を研ぎながら考えていました。
さあ、気合い入れてツメキリしてきます!!