田中一馬ブログ

短角牛の蹄

今日も削蹄でした。

削蹄に行くと色々な牛を見る事が出来ます。

色々な農家さんとお話しする事が出来ます。

今日は久しぶりにジャージーの子牛とご対面しました。

さすがにジャージーは可愛いです。

でも、やっぱり一番好きなのは黒毛和種。

その中でも但馬牛はやっぱり好きだ。

品があるというか、綺麗な牛だと思う。(写真はこないだ生まれたうちの牛です。。。)

黒毛和種とは一般に和牛と呼ばれている品種です。

但馬牛はその中でも特殊な「系統」になります。

そもそも和牛とは各地域の日本在来の牛に、それぞれの地で外国のショートホーン種やアンガス種などを交配させて改良された品種です。(海外の牛が改良に使われたのは、ほんの一時期だけでしたが。。)

そのため和牛といえどもそれぞれが全然違う牛となります。

和牛には全体の90%以上を占める『黒毛和種』を始め、岩手の『日本短角種』、高知系の『褐毛和種』、熊本系の『褐毛和種』、山口県の『無角和種』があります。

また、日本短角種に黒毛和種を交配させるなど『和牛間の交雑種』も和牛と表記されます。

その他に、国産牛としてホルスタイン、ジャージー、ブラウンスイスなどの乳用種や各品種間の交雑種、また世界3大肉用種であるヘレフォード、アンガスなども国内で飼育されています。

ここらへんを書き出すと長くなるので割愛させていただいて、簡単に言うと【牛と言っても色々な種類がいる】と言うことなんです。(←簡単に言いすぎました)

品種の見分け方は毛色の違いが一番わかりやすいのですが、実は体型も品種間で違います。

更に言えば蹄も品種で違います。

蹄の色はもとより、蹄の質が違うんです。

黒毛和種の蹄は粘りがあります。

逆にホルスタインの蹄はぼろぼろしているというか、粘りのある蹄に対して「さくい(方言かな?)蹄」と言います。

鎌を走らせた時の感触なので言葉での表現が難しいのですが。。。

同じ黒毛和種でも但馬牛はよく伸びる蹄です。

同品種の中でも系統でも蹄質に違いがあります。

今回初めて日本短角種の削蹄をしたのですが、同じ和牛の黒毛和種よりもホルスタインに近い「さくい」蹄で黒毛とホルスの中間のような蹄でした。

確かに良く見れば毛色は全然違えども、体型も顔つきも乳房も改良前のホルスタインににています。

目の周りや鼻の色もホルス寄りな気がします。

以前日本短角種と同じ褐色の褐毛和種を高知県で切らせていただきましたが、褐毛和種(高知系)は蹄も顔も黒毛和種に近かったです。

日本短角種も褐毛和種も黒毛和種のようにサシがびっしり入る牛ではありませんが、黒毛に比べ強靭で放牧特性があります。

特に日本短角種は乳がすごくでるので、山林に親子放牧していても子牛が丸々としています。

話を蹄に戻します。

僕は肥育農家農家じゃないので肉の事は詳しくありませんが、感覚として蹄が粘っているほど肉のキメも細かく、蹄がさくくなるほどキメは荒い気がします。

兄弟子は短角は「(遺伝的に)脂が少ないのかな?」と言っていましたが、真相は分かりません(笑)

でも、そうやって実際に牛を見て、触れて、蹄を切って、色んなお肉を食べて、感じた事って言うのはあながち間違っていないと思うのです。

もちろん飼養管理で肉質は変わってきますし、飼養環境で蹄質は変わります。

その上でやはり品種間の違いはあると感じています。

それは良い悪いでなく牛の特徴であり、小さな蹄からでも見てとれるものはたくさんあると思うのです。

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として様々な農家の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛を中心に長期肥育や経産肥育、放牧牛肉の生産などをスタート。
好きなものは牛肉、漫画、純米酒、ウイスキー。ここ1年はサウナにドハマり中。

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