最終更新日2019.1.8 16:20
放牧を通して循環を作るということを考えた
こんにちは。
但馬牛繁殖農家のお肉屋さん、田中畜産の田中一馬です。
万場放牧場、準備オッケー!!
今年の放牧の準備がようやく出来ました。
第1弾は雲の上の放牧場、万場スキー場です!!
いよいよ今週には放牧をスタート。
年末にお肉となる牛も、子を宿した母牛も、みんな一緒に山での新生活が始まります。
妊娠間近や育児中の牛は放牧しないけどね〜。
見学用に双眼鏡も買うから見に来てね!!
雲が晴れると神鍋高原の火山の噴火口~出石まで見れますよ!!
放牧場への思い
万場スキー場のある神鍋高原は但馬でも数少ない大きな放牧スペースのある場所。
ここでの放牧は僕の目標の一つでもありました。
牛は人間が利用できない繊維を消化吸収し、牛乳や筋肉に変える事の出来る動物です。
・作物を作ることのできない傾斜地でも牛がいれば肉や乳といった食料を生産できる。
・放牧や自給飼料で【牛が生きていける】基盤を作れば、国内での食料の備蓄につながる。
放牧=持続的=循環
という理想にも似た思いを常に持ち、つい3年前まで僕は現実とのギャップをガンガン感じながら牛飼いをしていました。
但馬は山に囲まれた谷沿いに集落が点在する地域で、北海道のような広大な草地はありません。
また昔から「弁当忘れても傘忘れるな」という言葉があるくらい雨が多く、乾草を取るのも至難の業。
少しでも自給飼料を!!との思いで但馬中を走り、稲木架けの稲ワラを夜通し集めてまわった事もあります。
でもね、僕が必死で集めたワラは北海道で大きなトラクター使って取れば10分くらいで取れる量なんだよね。
放牧場にしてもそう。
どれだけ但馬で大きな放牧場を確保しても20haもありません。
これが熊本の阿蘇だと23,000haです!!
全く桁が違う。。。
しかも、これだけの草地が畜産農家の減少によって使われなくなり荒れてきているのが現状。
「こんな小さなことで循環って言ってたところで自己満足。結局何も変わんない。。。」
そう思いながらもこの一歩が持続的な社会、循環型社会に繋がると信じてました。
少しでも可能性のある土地を探して、下調べをして、根回しをして、「確保する事」に全力を注ぐことで加速的に放牧場の面積も増えました。
循環とは
そんな中、達成感と並行して違和感が積み上がってきました。
自分のモノにしよう。溜めて溜めて溜めて蓄えよう!という考え方自体が違和感の原因。。。
小さな地域で、小さな土地やそこから生える草を、『自分が確保する』という奪い合うような行為そのものが、すでに持続的な考え方と矛盾するものだとわかったんです。
循環とは流れ。
これもある!欲しい!!
これもある!欲しい!!!
取った!取られた!!
こんな事を繰り返していても行き詰るだけなんすよね。
自分に何もなくても借りればいい。
得たものは自分の器量で渡せばいい。
溜めるのでなく、借りる事、回す事、流れを常に作る事。
この放牧場は農家3軒と豊岡市、普及センター、地元の地権者、スキー場関係者、牛を管理してくれるMさん、そして気にかけて応援してくれる方々。
みんながいてくれるからできた話。
みんなが自分の目的のために動くし、負担もするけど益もある。
人とのかかわりを作っていくことが循環。
こう考えた方が僕は違和感がない。
だから僕はこの仲間内で作る放牧組合が好きだし、大事にしていきたいなって思っている。
ってそこかーーーー!!!!
↑でも、これも大事なことだよね(笑)