田中一馬ブログ

牛の捕獲は「腰ドン」が決め手。虚と実を織り交ぜて子牛を捕獲してみよう。

動物が自分を中心として、これ以上近づくと逃げる距離。

これを【逃走距離】といいます。

人に馴れた牛ほど逃走距離は短く、警戒している牛は逃走距離が長くなる。

逃走距離が長い牛って捕まえづらいんですよね。

こういった近づけない牛を捕まえるにはどうすればいいのでしょうか?

今回は牛舎のケースで考えてみましょう。

牛舎の場合、牛たちは柵の中にいます。

しかし牛の動きはとても素早く、逃げる牛を捕まえるのは至難の技。

狭いからこそ無理に追い詰めると大きな事故につながる恐れがあります。

(ブログ「追い詰められた牛は想像を超える動きをする」)

まずは「牛の動きを止める」こと。

これが捕獲の基本です。

牛を捕獲するにはまず動きを止めること

牛がマスの真ん中にいる時は逃げる方向が無数にあります。人の動きに合わせて逃走ルートを選択することができる状態で、牛を捕獲することは非常に難しい。

そのため、柵に隅に牛を追いやることが捕獲のファーストステップになります。

絵じゃわかりにくいので、動画を作りました。

なかなか触らせてくれない牛の捕まえ方①

なかなか触らせてくれない牛の捕まえ方②

こんな感じで牛を四隅に追い込むことで①逃走ルートを制限し、②逃げ場がないと錯覚させる。

これが『牛の動きを止める』ということなんです。

ただ、実際はこんなに簡単にはいかないことも多い。この動画でも僕は一度失敗しています。牛だって捕まえられたくはないですもんね。

追い込むためのフェイントと物理的なアタック。この虚と実の両方を使いこなすことが、牛捕獲の秘訣です。

腰ドンで逃走スペースを封じよう

「壁ドン」って言葉が少し前に流行りましたよね。

僕はカツアゲされた記憶しか浮かばないですが、どちらにしても「逃げ場をなくす」という時に使われる壁ドン。牛の捕獲においてもその効果に揺らぎはありません。

一見追い込まれたようでも、牛はしっかりと逃げ道を確保しています。

壁と平行に体一つ分のスペースがあれば、お尻を動かして牛は旋回します。

そんな時に使えるのが【腰ドン】。

牛の旋回を止めつつコーナーに追う便利技です。

百聞は一見に如かず。

腰ドンで牛の逃げ道を制限する方法

ね、使えそうでしょ。

蹴ろうと構える牛にはダメですが、逃げようとする牛にはめちゃ使えます。

腰ドン、牛の捕獲にはオススメですよ。

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として様々な農家の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛を中心に長期肥育や経産肥育、放牧牛肉の生産などをスタート。
好きなものは牛肉、漫画、純米酒、ウイスキー。ここ1年はサウナにドハマり中。

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