田中一馬ブログ

ミスジにはなぜサシが入るのか?

ミスジってご存知ですか?

神戸ビーフのミスジ

ミスジは牛のウデの一部。
「どんな牛でもここにはサシが入る!!」っていうくらい、牛肉の中でも霜降りの入りやすい場所です。
甘みのある脂とウデ特有の香ばしさが特徴の人気部位でもある。
和牛のミスジを見ていると、僕は胸が高ぶってしまう。
それは黒毛和種が本来持っている能力を一目で感じられるからかもしれない。
放牧した経産牛でもこんな風にサシが入る。

放牧敬産牛「てるとよ」のミスジ

ミスジのある場所

このミスジ、牛を4つに分けたときの「前」部分にあたります。
(部位の説明はこちらのブログをどうぞ「牛の部位は4つに分けて考えよう」)
「前」は牛の体の中でも非常に負重がかかる場所。

牛の4分割

こんな風にジャンプしたり急旋回したり走ってブレーキをかける時も、負重はすべて前に行く。
(画像をクリックすると動画が見れます。)
そのため牛の前半身は様々な種類の筋肉から構成されています。
https://instagram.com/p/Bdz__3EjQyd/
負荷がかかると筋肉は発達し、肉質は硬くも香ばしくなります。
それがネックやウデ、肩ロースなどの「前」部分の特徴です。
ではでは、なぜ同じ「前」であるミスジに、こんな風にサシが入るのでしょうか?

ミスジにはなぜサシが入るのか?

牛の「前」を分割していくと、大きく肩甲骨から剥がれる部位があります。
これが「ウデ」。図で言う所の②の場所です。

暗記、、、出来ないっすよね。。。

実はこのウデには衝撃を吸収するための特別な仕掛けがあるんです。
牛の後ろ足は骨盤から大腿骨へと繋がっており、骨と骨が関節で繋がっています。
一方で前足は関節によって骨と骨が連なっていません。
肩に張り付くように肩甲骨がくっついています。

ミスジはこの肩甲骨の裏にあるお肉

牛が歩くときには後肢の推進力が体幹を伝わり、前肢がそれを受け止めて進みます。
その衝撃に対応するため、前肢には20種類もの筋肉が集まっています。

ウデは牛の前脚部分の筋肉で、大きく分割すると5つに分かれます。 ミスジ(右下)、クリ(左下)、ウワミスジ、カワラ、ニノウデ。

このように大きな負荷がかかるウデ。
しかし実は肩甲骨と胴骨を支える20もの筋肉によって、その衝撃はスプリングのように吸収されます。
その中でも最も負荷がかからない「肩甲骨の内側」にあるのがミスジなんですよね。
力が逃げる場所だからこそ、放牧していてもサシが入るということなんです。
はー、筋肉って面白い。
強さだけではダメ。
緩急あって機能的に作用しているんだなって、ミスジを見ていると思います。

肩甲骨は柔軟性が大切

そんな肩甲骨の下に位置するミスジは、人で言う所の三角筋、棘下筋、小円筋にあたります。
https://twitter.com/tanakakazuma/status/955643531422347264
実はここは昨日僕が攣った場所。
肩甲骨をスムーズに動かすためには柔軟な筋肉が必要。
ミスジってそんな感じだよな。
牛の負重を吸収する場所。
柔軟さがあのサシと食感を生んでいると思う。
肩甲骨はゆとりあってこそ。
こうなる前にしっかりとストレッチをして、牛のように可動域を広げたいですね!!
https://twitter.com/tanakakazuma/status/955017555055296512
って、、、硬ーーーーーーーーーーーーー!!!
ロボかよ!!!
 

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として様々な農家の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛を中心に長期肥育や経産肥育、放牧牛肉の生産などをスタート。
好きなものは牛肉、漫画、純米酒、ウイスキー。ここ1年はサウナにドハマり中。

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