最終更新日2019.1.8 17:56
子牛から学ぶ、牛の蹴りを最小限に防ぐ方法。
牛ってどんな動物に見えますか?
「目がかわいいですよね!!」「角が怖くて無理。」「近寄れないです。。。」「臭い。」「のんびりしてる。」「突進してきそう。」「臆病?」「力が強い。」
人によっていろんな見え方がある牛。
そのどれもが牛の持つ一面を正しく表しています。
でも、それは牛の全てじゃない。
人同士でも相手のことは分からないのに、ましてや牛です。
『牛ってよくわからない動物だよね。』
これが今、僕の中で一番しっくりくる言葉。
分からないからこそ気をつけよう
昨年末にこんなニュースを見ました。
北海道で牛による作業中に死亡事故が起きたというもの。
いたたまれない出来事ですが、牛に関わる事故というのは意外にも多い。
僕の大学の後輩も先日こんなツイートをしていました。
友達のお母さんが牛に襲われて角が肝臓に刺さって救急搬送
やはりなめてはいかんな牛は pic.twitter.com/o34tLY1ocP
— 🌟やぎ🐐てつや🐐🌟 (@pomardson) January 11, 2018
突かれる、ぶつかる、蹴られる、挟まれる、踏まれる、乗られる、噛まれる、叩かれる。。。
様々な牛による事故がある中で、圧倒的に多いのは蹴られるではないだろうか。
牛の蹴りから身を守るには
僕も数え切れないくらい牛には蹴られてきました。
膝の靭帯も2回切った。
全国の色々な牛の蹄を切っていると、本当に色々な牛と出会います。
気をつけていても防げないこともある。
牛はのんびりしているイメージがあるかもしれませんが、本気のキックは何が起きたのかわからないくらい早いのです。
ただ、同じ蹴られるにしても重症になるケースと軽症で済むケースがある。
その違いが、牛と人との間合いです。
危険ゾーンには入らない!!
牛の蹴りによる事故は99%が後肢。
前肢は構造上前後にしか出ませんが、後肢は横にも可動域があります。
そのため、牛のキックゾーンは意外に広範囲。
白く塗っているところが牛のキックゾーン。
牛は一度振りかぶるように肢を前に出し、斜め後ろに蹴り抜きます。
馬のように両足で真後ろにドーンではない。
例えれば日本刀を鞘から出して、剣で切るって感じです。
とにかく早い。
パパパパーン!!と連発で足が飛んでくることもある。
そしてこのキックゾーンの中でも、赤く塗っている場所が蹴りに最も力とスピードが乗る危険ゾーンです。
大怪我の大半がここで起きます。
牛に蹴られないためには①キックゾーンに入らないこと。
どうしても牛に触れなくてはいけない時は、②危険ゾーンに入らないことです。
これが一番重要。
中途半端に怖がっている人ほど危険ゾーンに立っていることが多い。
近づく時も横や後ろからではなく、斜め前から。
体をくっつけながら少しずつ後ろに向かって進みます。
そうすることでクリーンヒットを防ぐことができる。
もちろん何があるかわからないのが『牛』なんですけどね。
子牛が教えてくれたクリーンヒットを避けるポジション取り
僕が蹴られながら覚えてきたこと。
それと全く同じやり方を、実は子牛もやっていました。
蹴られながらもポジション取りを身につけていく子牛。。。
「そうだよな、やっぱそこだよな!!」
クリーンヒットを避けるポジションの取り方を、改めて子牛から教えてもらった。
(写真は同じ瞬間を角度を変えて撮ったものです。)
蹴られても蹴られても果敢に乳を飲めるのは、クリーンヒットが無いからです。まともに当たると流石にヤバイ。真上から見るとよくわかりますが、ぴったりと重なる事で親牛の蹴りの軌道から逃れている。ボクシングでいうとこのクリンチかな。中途半端な距離が一番危険。牛の扱いも同じです。 #牛ネタ pic.twitter.com/1vzvoUk3nQ
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) January 3, 2018
蹴られても蹴られても果敢に乳を飲めるのは、クリーンヒットが無いからです。
まともに当たると流石にヤバイ。
真上から見るとよくわかりますが、ぴったりと重なる事で親牛の蹴りの軌道から逃れている。
ボクシングでいうとこのクリンチかな。
中途半端な距離が一番危険。
牛の扱いも同じです。
動画で見るともっとよくわかるかな。
ぴったりとくっつくことで蹴られながらもクリーンヒットを避けています。
ちなみにこれを応用したものがこれ。
「真後ろ」も入り込めば意外に蹴りが当たらない。
入るまでが危険ですけどね。。。
上には上がいます。
知ってるかい?2頭哺乳で後ろから飲む子は大抵が他人の子。普通に行くと間違いなく蹴られるから、本当の子が飲みに行ったタイミングでコッソリと乳を盗む子牛たち。本能じゃなくてこれは知恵。したたかというか賢い。真後ろは蹴られにくく牛の死角でもあるんです。 #牛ネタ pic.twitter.com/FhNE45AI5l
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) January 11, 2018
牛も色々。
もちろん蹴らない牛もたくさんいる。
しかし、ふとしたはずみで驚いて足を上げてしまうこともある。
だからこそ「牛は蹴るもんだ。」そう思って接することが大切なのかなと思っています。
怪我して良いことなんて一つもないですからね。