最終更新日2019.1.8 16:19
『ゆうなとスティービー』は畜産とは何かということを教えてくれる絵本
大好きな堀米薫さんの本。
ゆうなとスティービーを読んだ。
ダメだ。
泣いた。
今年一番胸を掴まれた絵本。
変に作った物語ではなく、ありのままの牛飼いの生活が描かれている。
実話だしね。
「牛を飼い肉にするってどういう気持ちなの?」
そんなことが読んだ人に伝わる絵本だと思う。
日本中の人に読んでもらいたい本です。
発熱で泣いて泣いてする娘。久しぶりに絵本読んで二人の時間っす。ゆうなとスティービー。すごくいい本だわ。娘と一緒に「うちのことみたいだね」って話してました。なんかしんどくてもいい時間だな。。。少し落ち着いたからぐっすり寝て欲しい。そして僕は少し喉が痛い。へへ。へへへ。 pic.twitter.com/d34hbjp3ba
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) October 23, 2018
この本を読んで思ったのは農家の生活そのものが描かれているということ。
それもそのはず、作者の堀米薫さんは作家ではあるが牛を飼っている畜産農家でもある。
僕は完璧に娘と重ねて読んでしまった。
生まれてきた時からの障害、なんとか助けたい農家としての気持ち、同時並行で進む日常、3年という歳月、牛を肉にするということ、その姿を見る子供、湧いてしまう情、日常日常日常、屠畜、思うとこがありながらも親の仕事に誇らしい気持ちが見える子供の姿、文中には見えない葛藤までもがリアルに感じられる。
ざっくりと言えば
【盲目で生まれた子牛の一生と、牛と一緒に過ごした畜産農家の日常を描いた絵本。】
でもね、これは盲目の牛を感動的に書いた話ではない。
正直盲目の牛が生まれたら目の前は真っ暗になる。冗談でなく感動なんて感じる余裕はない。
育てられるのか?
別に飼育スペースが必要だ。。
手がめちゃくちゃかかかるじゃないか。
育てても子牛市場では売れないし、、、
肥育まですると3年以上もの歳月がかかる。
その間のスペースの確保なんてあるわけないよ。
そもそも本当に最後まで飼えるのか。。。
キツイ言い方だけど重荷でしかない存在だと思う。
でも生きている以上は生かしたい。
そういうもんだ。
一日一日の積み重ねで真っ暗な先にも見通しがつき、少しづつスティービーはこの一家にとって特別な牛になっていく。
特別な牛だけど、みんな同じ家畜だから特別ではない。
一線をぶらさず、家畜としての一生をプロとして全うさせる。
そんな「日常」が僕の心に響いた。
丸山ゆきさんの画も素晴らしい。
堀米さんがから書ける話と丸山さんでしか出せない世界によって、本当にわかりやすく暖かい畜産農家の世界が表現されている
畜産とは何か。
そんな答えの一つを伝えてくれる絵本です。