田中一馬ブログ

牛がお肉になるまでのお話①

牛がお肉になるまでのお話

牛肉とは牛の肉です。

「そんなこと知ってるよ~!」と思われることでしょう。

では、実際どのようにして牛は生れ、お肉になっていくのでしょうか?

知っているようでちょっと知らない。牛の世界へご案内します!!!

牛肉を生産するためにはまずは牛が生まれなくてはいけませんよね。

野生の動物であれば交尾することで子孫を残していきます。

しかし、家畜である牛。国産牛の99%の牛が人工授精で生まれてきます。

「え~!不自然!!大量生産の手法だ~!!」ってはねつけないでくださいね。

人工授精で生まれた牛も、交尾して生まれた牛もみんな当たり前のように1頭1頭個性があります。

全く同列で個別の命なのです。

そもそも日本では昭和の初めまでは交尾をさせて子牛を生産することが普通でした。

そんな中、但馬で大正11年頃から集団的な牛の不受胎が大発生し畜主間に大恐慌が起こります。

10数年余りの研究の結果、日本中で起こった不受胎の原因が「トリコモナス」という寄生虫であることがわかりました。

それ以降、家畜の防疫的な観点から人工授精が日本中に普及していきました。

そして、結果的に人工授精によって和牛の改良のスピードは著しく上がりました。

今では地方自治体や民間が雄牛を保有しており、そこで精液を採取し、保存し、販売しています。

この写真は兵庫県の畜産試験場です。

農家で生産された優秀な但馬牛の雄子牛は、兵庫県に買いとられ、この試験場で飼育されます。

ここで再度選抜され、選りすぐられた数%の牛のみが「雄」としての生を歩むことができるのです。

(口蹄疫以降防疫体制も万全です。)

(兵庫県を代表する雄牛、照長土井)

ちなみに去勢していてもメス同士でも発情期が来るとこのように乗りあいます。

この行動は排卵前の合図。

牛の排卵周期は21日で、分娩してから40日~80日で僕達繁殖農家は発情を発見し、種付けをします。

これが簡単なようで一番重要な仕事なんです。

いかに日々牛をちゃんと見られているかが問われます。

こんなふうに乗りあう牛ばかりではありません。

牛のちょっとした動作や目つきなどにも注意を払い発情を見つけます。

ちなみに、この雌牛に乗っているのは「夢」

残念ながら去勢です・・・。

僕は仕事柄全国色々な牛の削蹄をさせていただくのですが、その感想として、雄牛は人を見る(頭が良い)、雌牛ははしかいい(神経質)、去勢牛はおっとり。という感じがしています。

理由はわからないけど、削蹄すると性格がよくわかります。

また、牛って血統など遺伝的な要因や飼育環境でも性格に影響がでるんです。

人にはなつくけど牛には厳しい牛や、放牧場で解き放たれたとたん急に強気になったり、逆に弱気になったりする牛。

決して一定の距離を縮めない牛など色々です。。。

なんか姿は違えども身近に感じちゃいませんか??

(つづく)

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として様々な農家の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛を中心に長期肥育や経産肥育、放牧牛肉の生産などをスタート。
好きなものは牛肉、漫画、純米酒、ウイスキー。ここ1年はサウナにドハマり中。

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