最終更新日2020.8.19 17:36
私が畜産を好きになるきっかけになった本たち
数ヶ月前、ちょうど緊急事態宣言が出ている最中だったでしょうか。「◯◯チャレンジ」というのがけっこう流行っていて、その一つに「ブックカバーチャレンジ」がありました。
一週間かけて本の表紙写真と一緒に感想を投稿するというものだったと思います。で、それを知り合いの人にバトンを回し、回された人も何かしら本の紹介をするという感じです。(あらすじは話さないのがポイント)
その時に私にもブックカバーチャレンジのバトンを頂きまして。チャレンジの趣旨とは異なりますが、私が牛飼いの世界を知り、興味を持ち、より好きになるきっかけにもなった本を紹介出来たらと、インスタに投稿したものをブログにも残しておこうと思います。
①ドクターヘリオットの動物物語(ジェイムズ・ヘリオット著)
私の実家は非農家で、1番身近な動物といえば犬や猫しか連想出来なくて、動物が好きといえば=犬と猫が好きという感じの子供時代。
将来は犬猫のお医者さんになりたくて、そんな時に読んだ本が同じくヘリオット先生の「猫物語」「犬物語」でした。
ヘリオット先生はイギリスの産業動物の獣医師で、本の中で農家さんを回診しながら犬猫の診察もしている描写があり、それがとても活き活きとしてて。
その流れで動物物語も読んでみたら、こんな世界があるんだなぁ。馬や牛って良いなぁ。農村での暮らし、良いなぁ。と思い、高校卒業後、畜産の勉強の道へ進みます。
②にぐるま ひいて(ドナルド・ホール著)
先輩農家さんから贈って頂いた絵本です。
一年を通して描かれる、ある農家の暮らし。一見同じ事の繰り返しに見える日々がとても美しく描かれてて大好きな絵本です。
③世界屠畜紀行(内澤旬子 著)
牛や豚や鶏は、いずれお肉となりそれぞれの食卓へと届けられます。畜産農家と屠畜は深い関わりがあり、つながっています。
そんな「お肉になる」ってこと、海外ではどのようにお肉になり、食べているのか?
変に重くなく、感傷せず、でもお肉に対して敬意があり、とても読みやすい本です。
④動物感覚(テンプル・グランディン著)
畜産という仕事は、命を屠る仕事としてマイナスな感情を向けられる事も多くあります。
なんと言うのかな。命の向き合い方や感情とか、気持ちの推し量り方も人間同士であってもものすごく違ってて、生き物の種が違えばもっともっと、(人間でいうところの)感情そのものが違うのではないか。
擬人化ではない。相手を観察し、相手にとって良い形のコミュニケーションを取る。大切に接する。
そんな事を考える良い本です。
⑤海獣の子供(五十嵐大介 著)
本じゃなくて漫画です。
五十嵐先生の話が大好きで、これは昨年映画化もされた漫画です。
ジュゴンに育てられた少年たちと、自分の感情を言葉にするのが苦手な少女が見つめる「命」
描かれるのは海の生き物ですが、死生観や命の繋ぎ方が牛さんや全ての生き物に通じるんじゃないかと思える(しっくりとくる)視座が広がるような深い命の世界観。これは名作です!
⑥ゆうなとスティービー(堀米薫 著)
子牛が生まれ出荷されるまでの日常を、主人公の女の子を通して描かれた絵本です。
作者の堀米さんご自身も畜産農家さんで、だからこそ違和感なくゆうなちゃんの気持ちが描かれてて、葛藤や、清々しさにも似た気持ちや涙も日常で、畜産農家って素敵だなって思える本です。
⑦SUKIYAKI(松本栄文 著)
最後にこの一冊。
但馬牛が特産松阪牛として育ち、お肉となるまでのお話。沢山の人達が関わり、長い年月をかけて作られる牛肉。
「可愛いは、美味しい」
とてもインパクトのある言葉で、初めてこの一文を見た時は軽く衝撃を受けたけど、今ならわかります。
この一文に全てが詰まってるな、って。
こうしてまとめてみると、私が畜産をしていく中で大きく変わったのが「死生観」なのかもしれないなって思いました。中には絶版になってる本もありますが、気になる本がありましたら嬉しいです。