最終更新日2019.1.8 16:20
リピートされる牛を作りたい~但馬家畜市場4月子牛市~
こんにちは。
但馬牛繁殖農家のお肉屋さん、田中畜産の田中一馬です。
4月12日は但馬家畜市場4月子牛市でした。
牛市タイムライン
市況の前に、まずは牛市タイムラインっす!!
①牛市の2週間前から子牛の手入れは始まります。繋いでブラシをかけることで牛はおとなしくなり、綺麗な状態で子牛を出荷することが出来ます。
4月12日の #但馬家畜市場 に出す7頭の子牛たち。繋いでブラシをかけていきます。季節の変わり目で抜け毛がすごい!!このブラッシング、初めて繋がれた子牛は気持ちが良いなんて思っていません。怖いか怒るかのどっちかです。でもこれを10日も続ければ、殆どの牛は大人しくなります。 pic.twitter.com/SLMrYPpHRG
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) April 2, 2017
②前日は牛部屋でお酒を飲むのが我が家の通例。コップ2~3杯なんだけどね。
15年前に牛飼いを始めた当初から、牛市前日には牛部屋で酒を飲むのが通例の僕。はい、これはノスタルジーではありません。ただの酒好きなんです。。。へへ。 #純米酒が好き pic.twitter.com/Yi9yM5Zm1O
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) April 11, 2017
③朝は必ず娘が見送りに来てくれます。
もう1年以上、一度も寝過ごしたことがないって凄いよね!!
今日も安定のお見送り。牛市の日は必ず早起きしてくる娘です。4時でも5時でも関係なし。なんでだろう?何か感じるものがあるのかな? #但馬家畜市場 pic.twitter.com/ayyJ1djL48
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) April 11, 2017
④これも毎回。父がわざわざおにぎりを握ってきてくれます。
牛の積み込みにも来てくれます。感謝。
今日は #但馬家畜市場 4月の子牛市です。我が家からは7頭の子牛を出荷。朝(夜中?)からゴソゴソ準備をして、子牛を車に乗せて会場まで出発!義父が作ってくれた美味しいおむすびを頬張りながら向かうこの時間が好きです。もう少しで到着だから、気持ち切り替えて行くよ〜! pic.twitter.com/nKSFiiIBWH
— 田中あつみ 但馬牛飼い精肉店【田中畜産】 (@tanatiku) April 11, 2017
⑤そして牛をトラックから降ろし、
⑥体重測定を経て、セリ場に入っていきます。
さあ、これから子牛の競り市でーす!!この体重測定が値段を大きく左右するので毎回緊張です!でもね、緊張しても体重は増えません!!それでもドキドキします!! #但馬家畜市場 pic.twitter.com/hrlkwWyFfA
— 田中一馬 但馬牛農家の精肉店・田中畜産 (@tanakakazuma) April 12, 2017
以上っす!!!
スイマセン。。。
出荷に追われてこれ以上ツイートできませんでした。
市況です
では市況です。
雌 87頭 最高1,088,640円 最低467,640円 平均812,632円 前年同期比63,772円高 先月比10,162円高
去 141頭 最高1,019,520円 最低427,680円 平均826,751円 前年同期比885円高 先月比6,830円安
市場平均は先月とほぼ変わらず。
4月は雌が安くなる傾向があるのですが、むしろ先月より高値で推移していました。
その大きな理由が、上場頭数の少なさです。
現在日本の和牛子牛は圧倒的な供給不足によって高値が続いています。
今回の子牛市は228頭と、多い月の約半分。。。
牛のばらつきも大きく「ただ頭数が少なくて高値に動いただけ」と言ってもいい市場でした。
その中でも発育と掛け合わせが両方そろう牛はやっぱり安定して高い。
一方で、発育が悪い牛や、発育が良くても2代祖3代祖の古い牛は顕著に価格が下がる傾向がありました。
価格差は出てきましたが、未だ全ての牛が高い状況です。
ただね、今高値で売れている牛が3年後も高いかと言えばまた別の話。
過去の栄光が通用するほど、今の畜産はゆっくりと進んでいない。
僕たちは高値で売れた牛が良い牛って思いがちです。
でも本来は、買ってくれたお客さんが儲けてこそ良い牛なんだと思う。
今までは独りよがりな子牛生産でも高値で売ることができた。
だけど、もうとっくにそんな時代は過ぎている。
自分がどんな牛を生産していくのか、今がその分岐点だなと感じています。
親牛を育成し、種をつけ、生まれて、販売するまで2年以上もの時間がかかる子牛生産。
肥育農家に求められる牛と、これからの改良を進める上で必要になる牛。
逆算してみると、今から動いていないと変化に対応できないということがわかります。
もっと言えば、変化し続けないと変化には対応できない。
自分の中の『良い牛の定義』をシビアに作っていかないと今後行き詰ってしまうって、実は結構焦っています(笑)
「いい牛を作っていれば大丈夫」
呪文のように言われるこの言葉も、いい牛の定義がずれていては何の意味もないですよね。
リピートされる牛を作りたい
我が家からは去勢5頭メス2頭の7頭を出荷でした。
その中の1頭、ふくえ2の1の子が三重県に行きました。
実は僕、この子のお姉さん牛のお肉を年末に食べたんです。
49ヶ月齢の特産松阪牛っす。
飼っている時から「すごく良くなっているよ〜。」とおっしゃっていただいていて、「お肉になった時には買わせてください!!」とお願いしていました。
こういう関係性って嬉しいよね。
今回その妹牛を出荷したところ、同じ農家さんが100万円近い値で購入してくれました。
「前の子がすごく良かったから」って。
同じように「てるとよ」の子も県内の肥育農家さんがリピートしてくれました。
この子の兄弟もその農家さんで結果を出しています。
一方でBMS12番を出した「ふるさと2」の兄弟も今回出荷しましたが、発育が悪くリピートいただくことはありませんでした。
当然です。
いくら過去にいい成績が出ていても、目の前の牛が悪ければダメ。
リピートいただく牛と言うのは、以前買っていただいた牛が良かったことの表れだと思っています。
その上で目の前の牛が納得いただいているという事なんだと思う。
今が悪ければ当然ダメだし、今だけ良いやといった考えでもダメ。
子牛には在庫と言う概念がありません。
市場に出せば必ず売れます。
そんな環境だからこそ、リピートと言う概念が凄く大切になる。
現状での良い牛はみんなが見ています。
そのシビアな牛の取り合いの中で、「絶対にこの子は落とす!!」って思ってもらえるような、次につながる子牛生産を重ねていきたいなって思うんです。