田中一馬ブログ

7月子牛市は歴史的な相場。だけど相場は相場。

7月8日に但馬家畜市場、20日に淡路家畜市場で但馬牛の子牛市場が開かれました。

但馬家畜市場7月市平均

去勢 862,357円

雌  733,672円

総平均800,183円

淡路家畜市場7月市平均

去勢 892,519円

雌  743,917円

総平均822,733円

全国的に子牛相場が高騰している中で、兵庫県の但馬牛は他県市場の15万円高ととんでもない値段で推移しています。

また、但馬・淡路両市場ともに7月の総平均は80万円を超え前年同期比15万円高となっています。

ということは、昨年7月の市場総平均は65万円ということです。

この65万円という平均でさえ、誰もが過去に経験したないくらいのすごいことでした。

そのときはみんな「こんな高値が続くわけがない。これが1年続いたら大変なことだわ~。」と冗談半分で言っていました。

しかし1年を通して高値は次々と更新され、そのつど「さすがにこれ以上相場が上がることはないわな。。」と、更新される続ける価格に驚いてきました。

そんな但馬家畜市場に今月は我が家から雌2頭去勢3頭、計5頭の出荷でした。

・照豊西 芳悠土井×てるとよにし(菊西土井)×幸豊土井

・照豊悠 芳悠土井×てるとよ(幸豊土井)×照長土井

・とよひめひさ 芳悠土井×てるとよひめ(菊俊土井)×幸豊土井

・やましげ 芳悠土井×きくしげ(菊俊土井)×谷福土井

・幸山 芳山土井×さち(菊俊土井)×照長土井

(162がやましげ、163がとよひめひさ)

何とか今月も自分が納得のいく牛を出荷することができました。

価格も大切ですが、牛飼いとして思う牛ができることはとても自信につながります。

あとは購買先でいい結果を出してくれることを願うだけです。

とよひめひさは石垣島に、あとの子牛たちは削蹄でお世話になっている農家さんに嫁いでいってくれました。

ちょうど今日は削蹄で、先日販売した幸山の兄(さちの子)の蹄を切ってきたとこでした。

こういった子牛たちとの再開があるのが削蹄という仕事のありがたいところ。

この子たちとの再会も今から楽しみです。

今回の市場では我が家も高値相場にあやかってしっかりと儲けさせていただきました。

この相場で儲けていない農家はいないと思います。

しかし、ほんの2~3年前までは「市場平均」が雌で36万円、去勢39万円(どちらも税込)などと赤字はもとより倒産寸前といった時期が何年も続いていました。

僕は削蹄の仕事があったので何とか生活することは出来ましたが、就農時の負債もあって、とても牛飼いだけでは生活ができない状態でした。

牛の赤字を削蹄で補うなんてこともザラでした。

だからこそこの市況にもいちいち浮かれることはないですし、バブルのような相場でも危機感は常に消えません。

そもそも相場は自分の力ではありません。

儲けられるときに儲けるのは鉄則ですが、今の利益は自分の実力かといえば全然違うのです。

言い方は悪いですが今はみんなが「たまたまで」儲かってるくらいのこと。

僕もそうですが過去の赤字分の補填に当てている農家さんも未だ多いのが現実です。

これから何十年も牛飼いをし、子供を育て、自分たちが生活し、その営みが人の役に立てるものにしていくためには自分が関与できない相場に依存し、甘えていては何も作れません。

経営者としてシビアに向き合い、楽しい絵を書き続けていきたいと思います。

今は牛なら何でも高いですが、今どういう経営をするかで5年後大きな差になると思っています。

頑張ってみんな儲けて生き残っていきましょう!

ずっと言い続けている「人も牛も幸せな社会」を、僕なりの偏った主観で追求していきます。

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書いている人

しゃべらないけど発信はマメ 田中一馬

1978年生まれ。兵庫県三田市出身。田中畜産代表。
小さい頃から動物が大好きで北海道酪農学園大学へ入学。在学中に畜産の魅力に目覚め、大学院を休学して2年間畜産農家で住み込みの研修に入る。
2002年に独立して田中畜産を設立。但馬牛の子牛生産をメインに、牛の蹄を切る削蹄師として様々な農家の蹄をサポートをしている。
2008年に精肉部門を立ち上げ、自家産の但馬牛を中心に長期肥育や経産肥育、放牧牛肉の生産などをスタート。
好きなものは牛肉、漫画、純米酒、ウイスキー。ここ1年はサウナにドハマり中。

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