きそひめつる4 « 田中畜産|但馬牛の繁殖から放牧牛肉の販売まで

きそひめつる4

きそひめつる4は僕がまだ牛飼いをする前、研修先の牧場で飼われていた牛です。

僕が独立して3年目に我が家にやってきました。

きそひめつる4はとにかくよく食べる牛でした。

性格は穏和で、鼻輪がなくても簡単に捕まえることができました。

牛って同じように見えますが1頭1頭性格が違います。

食いしん坊もいれば食の細い牛もいます。

性格に違いがあるように体質にも違いがあります。

何を食べても太りにくい牛もいれば、すぐに太ってしまう牛もいるんです。

この「きそひめつる4」

食べるし、太るしという肉牛にはもってこいの牛でした。

しかし、きそひめつる4はもととも肉牛としてではなく『繁殖用』として飼っていた牛です。

母牛(繁殖)として活躍するためには妊娠しなくてはいけません。

妊娠するためには適度に痩せていなくてはいけませんし、痩せすぎても行けないんです。

きそひめつる4はどんなに粗食にしても太りました。。。

繁殖牛としてはちょっと困った牛でした。。。

でも、そんなきそひめつる4が結構好きでした。

我が家でのきそひめつる4は放牧リーダーでもありました。

牛は群れを作り、その中には必ずリーダーがいます。

放牧と言うと自然でのびのびというイメージがありますが、はじめて放牧する牛にはすごくストレスになるんです。

ガリガリにやせてしまう牛もいます。パニックで柵を飛び越えて逃げてしまう牛もいます。

そんなときに穏和なベテランの放牧リーダーがいることで放牧場が安定します。

きそひめつる4はそんな貴重な牛でした。

放牧場といってもいろんな放牧場があり、牛にとって過酷な環境の牧場もありました。

今回きそひめつる4がいた放牧場はとても牧場とは言い難い、ジャングルのような場所。

そこは昔棚田だった場所でしたが、すでにその面影はなく、熊やイノシシのすみかになっていました。

過去に何度か色々な農家さんが牛を放したのですがみんな逃げだす始末です。

我が家からも数頭チャレンジしましたが全頭パニックになり数メートル下の谷に落ちる牛まで出ました。。。

そんな状況で最終手段として導入されたのがきそひめつる4でした。

きそひめつるは肉となる日までこの耕作放棄地でしっかりと仕事をし、おまけに太って帰ってきました。

決して霜降りの入る系統ではありませんでしたが、本当に偉大な牛でした。

ありがとう、きそひめつる4。